若き王者・野村卓矢は猪木の映像から「闘魂」学んだ V3挑戦者は破壊王の息子・橋本大地

大日本プロレスのBJW認定世界ストロングヘビー級王座に君臨する若き王者・野村卓矢。初防衛戦でいきなりの強敵・関本大介、V2戦では熱い男・青木優也を、ドラゴンスープレックスホールドで退けた。

野村卓矢は東京・南千住の回向院を訪れ神様カール・ゴッチさんの墓参り【写真:柴田惣一】
野村卓矢は東京・南千住の回向院を訪れ神様カール・ゴッチさんの墓参り【写真:柴田惣一】

12・12後楽園ホール大会 2人の論戦はクールに進行

 大日本プロレスのBJW認定世界ストロングヘビー級王座に君臨する若き王者・野村卓矢。初防衛戦でいきなりの強敵・関本大介、V2戦では熱い男・青木優也を、ドラゴンスープレックスホールドで退けた。

 虹がかかったようなブリッジは美しく、かかとのきっちり上がった基本に忠実な決め方に称賛の声が広がっている。首の太さや、きれいなスープレックスは、基礎トレーニングを大事にした日々の鍛錬のたまものと言える。

 12・12後楽園ホール大会のV3戦の相手は「破壊王二世」橋本大地。この大会は大地の10周年記念興行と銘打たれ、試合後には記念イベントも控えている。挑戦者は必死でベルトを狙って来るだろう。

 王者・野村に対し「ベルトを巻いてから悩んでいるんじゃないか」と先輩・大地。野村は「考えてはいるが悩んではいない」と即座に反発している。

 2回の防衛戦で流血した野村に大地は「流血するチャンピオンってどうなの? 血を出して喜んでいるんじゃないか。おいしいと思っているんじゃないのか」と挑発的な言葉を並べた。野村は「プロレスに対する考え方は、人それぞれなので」と意外なほど冷静に切り返した。

 2人の論戦はクールに進行しているが、対照的に周囲はヒートアップしている。大地のサポーターは「入場テーマの爆勝宣言は本当に素晴らしい名曲。あれを聞くだけでゾクゾクする。キャリアも違うし、10周年記念興行で負ける訳には行かない。破壊王・橋本真也二世の大地の勝ちだ」と自信満々。

 野村の支持者は「お父さんの名前を出されるのは、大地は嫌なのでは。確かに、偉大なレスラーの橋本真也と比べられるのはつらいと思う。だが息子だからこそ、デビュー時から話題になり、レジェンドとの対戦などで注目された部分も多々あったのではないか。それを恵まれていると取るか、負担に思うかは本人次第。対する野村は全くのたたき上げ。0からのスタートでここまで来た。意地を見せてほしい」という。

 本人たちもファンも、温度差はあるもののイデオロギー対決の様相を呈している。

 野村は昭和の新日本プロレスが大好きで、映像をチェックし研究している。となれば、やはりアントニオ猪木は特別な存在だ。「猪木さんに夢を見させてもらってプロレスラーになった」とキッパリ。

 最近の闘病については大変心配しているが「猪木さんの良いところは、強いところも弱いところもすべてをさらけ出せるところ。本当に強い人だから、弱い部分も赤裸々にできる」と分析。「確かに痩せてしまったが、目の奥にはまだまだ燃えるものがある」と力説する。

次のページへ (2/3) 2人の先輩・岡林裕二は「今の野村と大地は、どっちが勝ってもおかしくない」
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