報道がバッシングを助長…元フリーアナの僧侶が語る誹謗中傷の恐怖とメディアの責任
誹謗中傷に悩む人への“駆け込み寺”を建立、「一隅を照らす」活動を続ける
その後、群馬県伊勢崎市に照諦山心月院尋清寺を建立。誹謗中傷に悩む人への“駆け込み寺”として、寄せられる相談を通じてこの問題と向き合い続けている。
「お寺は話を聞いてあげることしかできませんが、訪ねてくる人の中には、精神を病んでいたり、職場を追われた人も多い。本当に必要なのは、行政が窓口となって、心療内科、警察、弁護士、ハローワークと連携しながら、被害者を支援していくこと。県単位ではまだまだですが、群馬でも大泉町の町長さんがこの考えに共感して、『あらゆる差別の撤廃をめざす人権擁護条例』を制定してくれました。少しずつこの流れが広がっていけば」
高橋さんのケースでは、マスコミがバッシングに加担し、中傷を加速させた面も否めない。誹謗中傷問題解決を取り組む記事に「扇動してるのはマスコミ」「どの口が言うんだ」と批判が寄せられることもある。高橋さんはその上で「個人や行政じゃどうにもならない。この問題を動かせるのはマスコミしかいない」と積極的にメディアに出演。今年6月にはNHKの「逆転人生」で自身の経験を語った。
「確かに報道で誹謗中傷がエスカレートした面はあります。ただ、マスコミの方はそれでも会社名を背負って、最低限の責任を持って記事を出している。管理人が表に出ないまとめブログや、匿名で書き込まれるコメント欄とは違います。マスコミの方も一般の方も、自分の書いたもの、報じたものに責任を持って、世の中やインターネットが少しでも良いものになるといいですね」
誹謗中傷という社会の闇に対峙し、この先も「一隅を照らす」活動を続けていく。
※高橋美清さんの「高」ははしごだか。
◇ENCOUNT編集部では、昨今社会問題化しているネットの誹謗中傷を多角的に取材し、解決への道を探りたいと考えています。記事連載を通して、皆さんが考えるきっかけを提供できればと思います。