設立50周年迎える新日本プロレスがファンに贈るプレゼント まずは懐かしのシリーズ名が復活【連載vol.71】
1972年3月6日に旗揚げし、来る2022年に創立50周年を迎える新日本プロレス。過去と現在の新日本を紹介する展示イベントを開催するなど、半世紀の歴史と伝統を感じてもらう数々のスペシャル企画の準備が進んでいる。いろいろと楽しませてくれそうだが、その一つが、往年のシリーズ名の復活だ。
毎週金曜午後8時更新「柴田惣一のプロレスワンダーランド」
1972年3月6日に旗揚げし、来る2022年に創立50周年を迎える新日本プロレス。過去と現在の新日本を紹介する展示イベントを開催するなど、半世紀の歴史と伝統を感じてもらう数々のスペシャル企画の準備が進んでいる。いろいろと楽しませてくれそうだが、その一つが、往年のシリーズ名の復活だ。
まずは新年の幕開けを飾る「新春黄金シリーズ」の開催。これには、オールドファンが沸いた。
1974年から85年まで、新日本創始者であるアントニオ猪木の黄金時代を思い起こさせる新春黄金シリーズ。その後「ニュー・イヤー・ダッシュ」などに代わったが、忘れ得ぬ懐かしのシリーズ名の代表格と言っていい。
季節感もあり、お正月のおめでたさもある。非常に簡潔で分かりやすいシリーズ名として親しまれていた。郷愁の念にかられたファンも多いだろう。ファンの数だけ思い出がある。
「懐かしい! お年玉で初めて後楽園でプロレスを見た時のシリーズ名です」とうれしそうな声。
「あの年のお正月に、亡くなった父と一緒に見に行きました」と感慨深げ。
「カールゴッチVS藤原喜明で、ゴッチがジャーマンで勝利した。生で観戦して感激したのを、今でも鮮明に覚えています」と興奮を抑え切れない人。
「花束嬢が着物姿で、お正月興行の雰囲気を盛り上げていましたね」と思い出に浸る人もいる。
思い起こせば、さまざまなシリーズ名がマット界の闘いを彩ってきた。
夏休みに家族連れで観戦するような明るい「サマーファイトシリーズ」。
「ブラディファイトシリーズ」では、タイガー・ジェット・シンや上田馬之助などが参戦し流血戦が多く「ビッグファイトシリーズ」ではド迫力の肉弾戦。秋の「闘魂シリーズ」では、激しい試合が繰り広げられた。
「MSGシリーズ」は人気外国人選手がそろい、お祭り気分とともに、きらびやかで華やかな特別感があった。
現在も使用される「G1クライマックス」は、真夏の祭典として(コロナ禍では秋に開催されたが)プロレスファンにすっかり定着した。
全日本プロレスでは「新春ジャイアントシリーズ」が、闘い始めの定番だった。春の「チャンピオン・カーニバル」、暮れの「最強タッグ決定リーグ戦」は季節の風物詩と言われ、今もおなじみだ。
「エキサイトシリーズ」は当初は新日本のシリーズ名だったが、いつの頃からか、全日本で定着している。
ノアは「ナビゲーション」「グローバル」「ヴォヤージ」……など、箱舟の航海を意識したものが多いようだ。
ZERO1の「火祭り」は、もはや団体の代名詞となるシリーズ名。「天下一武道会」も、ワクワクするような勇ましいネーミングだ。
大日本プロレスの「一騎当千」も格好いいと支持者が多く、人気の高いシリーズ名だ。
みちのくプロレスの県外への巡業「出稼ぎシリーズ」は、何だかほほ笑ましい気持ちになった。
各団体の個性や特徴あるシリーズ名は、枚挙にいとまがない。体制が変わると、気持ちを新たにするためか、シリーズ名も一新されることもあるが、なじみの名称は残してほしい気もする。そのシリーズ名を聞いただけで、参戦選手の顔が浮かんだり、名勝負がよみがえったり、あるいは当時の自分を思い出して、甘酸っぱい気分になる人もいるだろう。
われわれが想像する以上に、団体サイドはシリーズ名の決定に頭をひねっている。それぞれの関係者にも熱い思い入れがある。その由来や決定へのプロレス、変遷の過程を考えてみるのも面白い。
あなたのイチオシのシリーズ名は何だろうか? そこにはどんな思い出が詰まっているのだろうか?