2代目バチェラーの今 サイバーエージェントから独立、福岡移住で貫くチャレンジ精神
飲食業に逆風の吹くコロナ禍であえて着目したのがお酒
そして、大きな決断をする。さらなる挑戦を求め、19年10月にサイバーエージェントを退社し、自らの会社「GHOST(ゴースト)」を立ち上げた。飲食店やサプリメント事業など、30~40人の従業員を抱える大黒柱だ。
新型コロナウイルス禍の困難が立ちはだかる中で、新しい道を駆け抜けることを選んだ。スタートアップ企業を支援している福岡市を舞台に、大学や酒造メーカーと手を携え、「ウェルネスブランドを築き、グローバルカンパニーを目指す」壮大なプランを描く。飲食業には逆風の吹いたコロナ禍の中で、あえて着目したのが、お酒だ。「人と人をつなぐ媒体という捉え方。語らいの場を生み出し、人生を豊かに送ることのできるアイテムの一つです」と力説。このブランドで世界展開を見据えている。
それに、曽祖父から医者の家系で長男に生れながら、医者ではなく、ITの世界に進んだ自らのバックボーンにも思いをはせている。「人の健康や豊かな生活をサポートしたいという思いが根底にある。これも広い意味での医療なんじゃないかと」
福岡移住のために思い切って断捨離。家具や家電は仲間に譲り、引っ越しは段ボール10箱だったため宅配便で行った。福岡市内の家具家電付きマンションに住み、新規事業のローンチに向けて、九州の生産者に直接自分で足を運んで勉強する毎日だ。東京オフィスとのやりとりは基本オンラインだが、月1回の東京出張での対面会議を大事にしている。
会社員時代から「複業(複数の仕事を持つこと)を展開するハイブリッドなサラリーマン」の生き方を提唱している。心から思うのは、長引く不景気やコロナ禍によって閉塞感に包まれた日本のビジネスパーソンへのエールだ。「1度きりの人生、興味を持ったものに手を付けて、何でもやってみる生き方もありだと思う。もちろん会社員として、メインの仕事は組織内で求められることをしっかりやったうえで、挑戦していくことが大事」と強調する。目指すのは、新たな働き方のロールモデルだ。「働く会社や住む環境を変えることで見えるものもある。自分自身の行動を通して、複業や挑戦を敬遠するような社会の空気を変えていきたい。そう話していると、ますますチャレンジ精神に拍車がかかってきます」。
□小柳津林太郎(おやいづ・りんたろう)、1981年10月2日、京都市生まれ。6~14歳まで米ニューヨークで過ごす。慶応義塾大経済学部卒業後、2006年にサイバーエージェント入社。18年に「バチェラー・ジャパン」(Amazon Prime Video)に参加。19年に独立し、株式会社GHOSTを創業。飲食・サプリメント・オンラインサロン事業に加えて21年8月に株式会社WWWEを創業。グローバルでのウェルネスブランドを立ち上げるべく奮闘中。