Netflixの韓国ホラー「地獄が呼んでいる」世界的ヒットの理由 現代社会への批判も

Netflixの韓国ホラー新作ドラマ「地獄が呼んでいる」(ヨン・サンホ監督)が世界的な大ヒットとなっている。今月19日に配信がスタートすると人気が急上昇。Netflixの公式サイト「TOP10」によると、非英語圏のテレビ番組最新ランキング(15~21日集計)で視聴時間総合1位を達成し、71の国と地域でTOP10入りを果たしている。9月17日に配信された同じく韓国ドラマの「イカゲーム」が長らく1位を誇ってきたが、「地獄が呼んでいる」と入れ替わることになった。同作は配信に先駆けトロント国際映画祭、ロンドン国際映画祭、釜山国際映画祭でも招待上映されるなど関心を集めていた。

現代的テーマを真正面から描いたドラマ「地獄が呼んでいる」【写真:(C)Netflix】
現代的テーマを真正面から描いたドラマ「地獄が呼んでいる」【写真:(C)Netflix】

私たちの社会を激しく分裂させている議論への問題提起

 Netflixの韓国ホラー新作ドラマ「地獄が呼んでいる」(ヨン・サンホ監督)が世界的な大ヒットとなっている。今月19日に配信がスタートすると人気が急上昇。Netflixの公式サイト「TOP10」によると、非英語圏のテレビ番組最新ランキング(15~21日集計)で視聴時間総合1位を達成し、71の国と地域でTOP10入りを果たしている。9月17日に配信された同じく韓国ドラマの「イカゲーム」が長らく1位を誇ってきたが、「地獄が呼んでいる」と入れ替わることになった。同作は配信に先駆けトロント国際映画祭、ロンドン国際映画祭、釜山国際映画祭でも招待上映されるなど関心を集めていた。(※以下、ドラマの内容に関する記述があります)

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「地獄が呼んでいる」は、韓国のゾンビホラー映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」(16年)や同「新感染半島 ファイナル・ステージ」(20年)で知られるヨン・サンホ監督の最新ホラードラマだ。天使から死を宣告された人々の恐怖と、天使の預言を神の意志だと説く新興宗教団体・新真理会の台頭、そして新真理会に戦いを挑む弁護士らの姿を描いている。

 第1話の冒頭で登場するソウルの遠景。何気ない日常の中に潜む恐怖。カフェの若者客は新真理会のチョン・ジンス議長が配信している布教動画を見ている。動画には正体不明のゴリラのような怪物が3体現れて人間を追い回し惨殺するという衝撃的なシーンが映し出されていた。すると突然、カフェにその怪物が現れ店内にいた男性をむごたらしく焼き殺すという事件が発生し世間に強い衝撃を与える。

 この怪奇現象を神の裁きだと主張する新真理会は、怪物によって人間が殺される「試演」の映像をネットで配信、拡散することで人々の恐怖心を煽り勢力を拡大。死は罪を犯した者への神の意志だとする主張に便乗する若者集団「矢じり」も新真理会への疑問を呈する識者に対し暴力行為を繰り返していた。

 全6話で前半の3話は、地獄行きの告知を受けたシングルマザーの動揺を軸に、新真理会が30億ウォン(約2億8000万円)と引き換えに預言が実行される瞬間を生中継し全世界が衝撃に包まれる様子と、行方不明になった娘を捜すチン・ギョンフン刑事、矢じりの標的となるミン・ヘジン弁護士の行動が描かれた。

 後半の3話は新真理会が牛耳る4年後の世界となっており、自分たちにとって都合の悪い状況が起こっていることを知った新真理会の理事らが、新真理会の権威が脅かされないよう必死で真実を隠蔽しようとする堕落した姿を描いている。

 残酷なシーンが続き、ストーリーに込められたメッセージも何やら難解そうだが、このドラマの魅力とはいったい何か。

「典型的なディストピアストーリーに組織の腐敗や社会的不平等に苦しむ人々の姿を鮮明に埋め込み、私たちの社会を激しく分裂させている議論への問題提起が見てとれます。新真理会が急速に勢力を拡大していく要因としてネットの存在がありますし、ネットにさらされることの暴力性や強い者には無批判になってしまうマスコミの態度など現代的な問題も批判的に描いています。人類が抱える複雑な課題を1つのストーリーに落とし込んだ脚本が見事で出演者の演技力も高い。恐怖をあおるVFX(ビジュアル・エフェクツ)も見どころです」(放送ライター)

 ドラマの前半では死の預言を受けたシングルマザーから金銭授受の依頼を受け事件に巻き込まれていくミン・ヘジン弁護士(キム・ヒョンジュ)が、後半では映画「エイリアン」シリーズの女優シガニー・ウィーバーや「トゥームレイダー」シリーズの同アンジェリーナ・ジョリーのようにアクションを炸裂させ悪党をなぎ倒していく姿も登場する。

「ネット社会の暴力性や神と人間の関係など社会的、宗教的な問題がテーマのドラマですが、キム・ヒョンジュのアクションシーンも痛快で相当な見せ場となっています。難しいことは抜きにして恐怖を抱えつつも勇敢でしぶとく生き残っていくミン・ヘジン弁護士を応援してみるのも楽しみの1つでしょうね」(同)

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