【カムカムエヴリバディ】上白石萌音の圧巻演技 NHK「近寄れないほどの深い悲しみ」

NHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土曜、午前8時)の演出・安達もじり氏がこのほど、取材に応じ、第4週の第20回(11月26日放送)で、安子(上白石萌音)が夫・稔(松村北斗)を亡くした悲しみを描く際のこだわりなどを語った。夫の死を戦死広報で知らされた安子は広い神社の境内で、一人ひざまずいて「稔さん」と名前を呼びながら泣き伏し、深い悲しみの姿が視聴者の胸を打った。第4週では安子の母や祖母、父も亡くなった。

何か知らせが届いたことに気付いた安子(上白石萌音)【写真:(C)NHK】
何か知らせが届いたことに気付いた安子(上白石萌音)【写真:(C)NHK】

夫の戦死知った安子を描いた第20回の“撮影秘話” NHKの演出・安達もじり氏が紹介

 NHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土曜、午前8時)の演出・安達もじり氏がこのほど、取材に応じ、第4週の第20回(11月26日放送)で、安子(上白石萌音)が夫・稔(松村北斗)を亡くした悲しみを描く際のこだわりなどを語った。夫の死を戦死広報で知らされた安子は広い神社の境内で、一人ひざまずいて「稔さん」と名前を呼びながら泣き伏し、深い悲しみの姿が視聴者の胸を打った。第4週では安子の母や祖母、父も亡くなった。

「つら過ぎず、ある優しさを持って描きたいと心掛けました。ただ、稔の戦死を安子が知る場面は、変に盛り上げることはしないでおこうというか、実際に戦死広報をもらった瞬間に何を感じるか、たとえば音楽で盛り上げたりせずに、そのままで見せた方がいいのかと思い、あのようにしました」と説明した。

 安子の神社のシーンは表情のアップはなく、少し離れた場所からの映像だった。

「安子が一人残されてしまったという表現をしたいと思っていました。最初は寄りを撮ってサイズ感で見せたいと思ってプランを立てましたが、現場での上白石さんのたたずまい、芝居を見て、非常に近寄りがたい、カメラが近寄れないほどの深い悲しみを感じたので、ちょっと距離を置いた所から見守る映像の作りにしました」

 体全体から放たれるような上白石の安子に同化する“芝居の魂”をあらためて感じる場面でもあった。

「第4週の編集をしていて上白石さん、すごいなと真っ先に感じまして、安子になり切って全身で表現してくださっていると仕上げの段階ですごく感じました。上白石さんなくしてはこの物語はできていません」

 第17回では安子の父・金太(甲本雅裕)が、妻・小しず(西田尚美)や母・ひさ(鷲尾真知子)を空襲で亡くして泣き叫ぶシーンもあった。

「現場でリハーサルをした際、見ていて、私自身が泣きそうになりました。第19回の幻の算太と再会する場面も鬼気迫る感情表現をしてくださったので涙しながら撮っていました」

 1週間で多くの登場人物が亡くなるなど物語の展開が早い。普段見ている視聴者はどんどん引き込まれていくはず。一方で、少し見逃してしまうとついていけない心配もある。

「非常にそこは、危惧はしております。ただ、やはり物語に没入してもらうことをまずは大事にしようと考えました。真剣に見てくださる方に満足していただけるものをちゃんと作り込んでお届けしようという方針で、今回はやっています。よく前回の振り返りをタイトル前にやったりしますが、今回は、ほぼ、冒頭から新しいシーンで構成しています。ある種、賭けではありました。どっちが親切か悩みましたが、15分という限られた時間の中で存分に物語を味わってもらいたいと、今のような構成でやっています。展開が早いと総集編のようになりがちなので、そうは見えない時間の運び方、積み重ね方を意識しています。これは願いでもあるのですが、朝の忙しい時間に、『ながら見』ができる作りの作品にするか、申し訳ないですが、忙しい時間でも手を止めさせてしまうぐらい没入する作品を作るか、という二択を迫られれば、後者に今回は挑もうとしています」と語った。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください