eスポーツ選手は“カッコいい存在”へ 若手社長は「カルチャーを作り出す側」を目指す
アパレル展開の根底にある「カッコいい存在であってほしい」という思い
――現在は「REJECT」ブランドのスタイリッシュなアパレルも展開しています。
「ずっと構想はあったんですが、なかなか作れなかったんです。僕も町工場の出身ということもあり、質のいいものじゃないと売りたくない、高く売りたくないという思いがありました。eスポーツ業界では、アパレルがすごく高く売られている傾向を感じています。数百円で作ったTシャツが、4000円くらいで一般的に売られている。おそらくロット数も少なかったりして、どうしても単価が上がってしまうと思うんですが……。国内のeスポーツ市場はグッズ領域が弱くて、質的にもデザイン的にも一般には浸透しづらい傾向があったんです。
でも、僕たちが目指すのはニューヨーク・ヤンキースでありながらも、パリ・サンジェルマンでもありたいというところ。パリ・サンジェルマンのアパレルはカッコいいですよね。だからこそ、良いものをしっかりと売りたいという思想を持ってやっています。企画の時点で失敗して大量の在庫を抱える経験などを経て、どうやったらアパレルに参入できるのかと模索していたところ、繊維専門商社のスタイレムから、『ALMOSTBLACK』というアパレルブランドのデザイナー・中島峻太さんをご紹介いただきました。良い質の生地を使わせていただき、最高のディレクターにも参画いただいて『コラボではなくガッツリ僕たちのブランドとしてやっていきましょう』となったのが、日本のeスポーツチームとしては初に近いんです。こうした取り組みも、自分たちが“ブランドとしても戦っていく”という意思表示でもあります。ブランドとしての思想があって、ファンの方に喜ばれるグッズがある。いつか僕たちはゲームの中でアパレルを売って、REJECTの理念を広げていきたい。その先駆けとなるように取り組んでいるのが、今のアパレル展開ですね」
――eスポーツチームの概念を覆すような、デザイン性に優れたアパレルが多いですよね。
「すごくカッコいいですよね。僕は選手たちが満足して着てくれていたら、まずはそれでいいと思っています。自分たちがブランドとして戦っていくという意思表示を、まずは選手に浸透させたい。そうしていけば、これまで『ゲーマーはダサい』と言われていたところが、変わってくるんじゃないかと。選手たちはみんなカッコよくなりたいし、カッコいい選手でありたいと思ってくれています。その結果、似合うように努力したり、ちょっと背伸びしてみたりと、おしゃれ好きの選手が増えてきましたね。カッコいい選手がいれば、eスポーツのアスリートを目指したくなる人も多くなるはず。僕たちは夢を見せる職業ですからね。
選手たちにいつも言っているのは、楽しいことにお金を使って経験に変えて、皆さんにお届けしなさいと。キラキラしているところを見せて、つらいところは僕たちのほうで出していくよということです。大会で1億稼ぐような選手が『しんどいね』と言いながらバスで会場に向かっていたら、嫌じゃないですか(笑)。選手にはカッコいい存在であってほしいですし、そのためにできることからやっていくように心がけさせています。自分たちが目指している生き方に近付けるように、理想の“カッコいい”姿を目指して取り組んでほしいですね」
○REJECT
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