医師が解説 瀬戸内寂聴さんの生き方を見習って、99歳まで元気に暮らす方法
肉食と人のために尽くすことも元気で長寿の秘けつ
寂聴さんは僧侶でありながら肉食が好きで、毎日のように牛ステーキをペロリと平らげ、それは亡くなる直前まで続いていた。また、本人は朝風呂に入ることも元気の秘けつだと語っていた。
「少し前までは、医師が『高齢者は肉より魚を食べなさい』とアドバイスしていましたが、今は肉食も奨励されています。なぜなら肉が好きな人が長生きしているという客観的なデータがあるからです。肉食によってたんぱく質を取ることができ、体の筋肉が増える。そのため体を動かす機会が増え、心肺機能が衰えず、元気で暮らせるからだと考えられます。朝風呂はリラックス効果が見込めます。人は朝目覚めたときが一番血圧が高い。そこで熱すぎないお湯にゆったりつかると気持ちがリラックスして血圧が下がるのです。ただし高血圧の人にはあまりお勧めできませんが」(米山公啓氏)
寂聴さんは「人のために尽くすこと」も長寿の秘けつと考えていた。実際に反戦や反原発の集会でマイクを握り、その一方では京都の「寂庵」で悩める人たちの相談を受けた。俳優の萩原健一さん(故人)やスタップ細胞問題の小保方晴子さんが寂聴さんを心のより所に頼りにしていたことはよく知られている。
米山氏によると、自分は何のために生きるかと自問し、その目的を見つけることが重要だ。誰かの役に立っていることを実感すると、やはり脳内にドーパミンが分泌され、それが精神的、肉体的な若さにつながるという。
「私も毎日、高齢者の患者さんに接していますが、90歳を超えてお元気な方には共通点があります。『自分は長生きするぞ』という強い意欲を持っていることです。こうした方たちは長寿のためにどうすればいいのかを常に考え、健康に細心の注意を払っています。また、寂聴さんは『原稿を書きながら死にたい』というほど執筆が好きでした。このように何かを作り出すために前向きに生きている人はいつまでもお元気です。80歳、90歳になっても絵を描くとか陶芸にいそしむなどクリエーティブな趣味を持つ。そんな人はなかなか老けません」