松村沙友理「若さを失うことの恐怖から逃げてきた」 初めて向き合った“年齢”の呪縛
「アイドル時代の10年間は私にとってとても大切なもの」だけど… 「今現在の自分も感じたい」
――主演の田中みな実さんとは初共演とうかがいました。ご一緒されていかがでしたか。
「本読みで、私がけっこう悩んで正解が見つけられなくなってしまって。そんなときにみな実さんが『一緒に考えよう』と声をかけてくださいました。乃木坂46のメンバーの1期生としてこの業界に入ってから、あまり先輩らしさが分からなかったので『先輩ってこういう感じなのかも』と改めて思いました。もともとテレビ局のアナウンサーだったみな実さんは先輩後輩がいっぱいいる中で育ってこられたと思いますし、いろんな人に気を遣ってくださって……。できない後輩をちゃんと先輩が見てくれるというか。今までは“個”だったので、“社会”を感じて、すごくうれしかったです」
――乃木坂46では1期生として約10年間活動され、グループ内では先輩という立場だったと思います。グループ卒業後、芸能界ではまだ後輩であるというお考えなのでしょうか。
「なんでも教えてほしいですし、これからいろんなことを学んでいきたい立場です。なので、自然と自分を後輩っぽく感じちゃうのかな。アイドル時代の10年間は私にとってとても大切なものですが、ちゃんと今現在の自分も感じて行かないといけないという気持ちは常に持っていきます」
――ジェンダーにまつわる考え方が浸透してきていますが、劇中では女性の“若さ”もさまざまな場面で描かれています。パパ活や結婚もそうですが、アイドルという仕事でも年齢を重ねて焦らされることも多いのでは。
「アイドルって、まさにすごく(年齢を)取り沙汰される職業だと思うんです。若さを武器にする人もいるし、逆に年齢を重ねてもアイドルをやっていることに意義を感じて、それを武器にする人もいる。いろんなタイプがいますが、私はあえてそこに触れてきませんでしたし、自分から年齢のことは言わないようにしていました。
私はどちらかというと、若さを失うことの恐怖から逃げてきたタイプなのかな。でも今回、美穂に出会って、『逃げていたらだめなんだ』と感じました。若さをなくし、別の武器を手に入れようとする美穂を『強くていいな』と思いましたし、私自身もアイドル人生で触れてこなかったような怖さや弱かった部分に対してちゃんと向き合いたいですね。それに、今の年齢だからこそできることもたくさんあります。この作品がちょうど卒業の時期だったこともあって、自分自身の意識を変えていかないといけないと強く思いました」