仲村トオル、「棒読み」との映画批評に「監督の狙いを忠実に再現できたんだ」
モデルの長女にアドバイス「舞台に上がったら、石を投げられることはあるかもしれない」
コロナ禍では、新たな感情も芽生えた。昨年9月公演の舞台「ベイジルタウンの女神」が収容率50%で初日を迎えた時のことだった。
「50%の客席を見て、残念だなと感じるのかなと思っていたら、全然そんなことはなかった。むしろ、カーテンコールの拍手は今まで聞いた拍手の音の300%ぐらいに聞こえた。共演の水野美紀ちゃんが『泣きそうだ、やばい』というのを聞いて、『いや、俺も』って思いながら、こんなに拍手がありがたいんだ、と。今までの俺はそのことをちゃんと感じていたかな、と思いました。コロナはネガティブな影響も多々ありましたけど、一番大切なもの、一番欲しい物が明確になった感じがします」
映画では息子を持つ父を演じたが、私生活では長女が長身を生かし、モデルとして活動を始めている。
「全然知らない業種に飛び込むわけではないのは、安心材料ではありました。ただ、『舞台に上がらなかったら、石を投げられることはないけど、舞台に上がったら、石を投げられることはあるかもしれないよ』とは言いました。あとは自分の足で歩いていく力をつけてほしいですね。幼い頃にあった心配事は(娘の成長につれて)どんどん消えていきましたが、新しい心配事ができた感じはしますけどね」。この時ばかりは、俳優とは違う、父親の“まなざし”だった。
□仲村トオル(なかむら・とおる)1965年9月5日、東京都出身。85年、映画「ビー・バップ・ハイスクール」でデビュー。86年から30年間に渡り制作された「あぶない刑事」シリーズ全作に出演したほか、「チーム・バチスタ」シリーズ、「家売るオンナ」シリーズなど数々の映像作品に出演。90年代後半より海外の作品にも参加。2004年、韓国映画「ロスト・メモリーズ」では第39回大鐘賞映画祭最優秀男優助演賞を受賞。中仏合作映画「パープル・バタフライ」(05)は第62回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品。2000年代より演劇のキャリアも重ねている。現在、TBS系ドラマ「日本沈没-希望のひと-」に出演中。