大ヒット作「イカゲーム」EP4解説 死闘シーンは円形闘技場 悪役3人組の数字にマジック
Netflixオリジナルの韓国ドラマ「イカゲーム」が世界的な人気を集めている。9月17日に配信が開始されるとNetflix全米1位を獲得する快挙を達成。配信後ほぼ1か月で全世界1億4200万世帯が視聴し、94か国でランキング1位を記録するなどNetflix創設以来最大のヒット作となっている。画面の隅々まで行きわたっている伏線の“構成美”について解説するコラムシリーズ。今回は第4話(エピソード4)について紹介する。
少ない食事でサバイバルゲームを誘発
Netflixオリジナルの韓国ドラマ「イカゲーム」が世界的な人気を集めている。9月17日に配信が開始されるとNetflix全米1位を獲得する快挙を達成。配信後ほぼ1か月で全世界1億4200万世帯が視聴し、94か国でランキング1位を記録するなどNetflix創設以来最大のヒット作となっている。画面の隅々まで行きわたっている伏線の“構成美”について解説するコラムシリーズ。今回は第4話(エピソード4)について紹介する。(文・構成=鄭孝俊)
(※以下、ドラマの内容に関する記述があります)
「イカゲーム」第4話は「チーム分け」。ただし、これは日本版タイトルで原題は「怖いけど仲間になろう」といった意味になる。カルメ焼きの型抜きゲームをぎりぎり乗り切った主人公のソン・ギフン(イ・ジョンジェ)が共同寝室ホールに戻ると幼なじみのサンウと外国人労働者のアリが駆け寄り互いの無事を喜び合った。型抜きゲームで脱落した参加者は187人中79人。積み立てられた賞金総額は348億ウォン(約34億円)に増えた。2番目のゲームは終わったものの、運営側はさらに残虐な隠しゲームを準備していた。
食事の時間になりサイダーとゆで卵1個が生存者に配布された。量の少なさに不満を持ったドクスたちは列に2度入り食事を2回受け取る。食事は人数分しか用意されていなかったため最後の5人が受け取れず271番がドクスたちに文句を言うが、ドクスの暴力で死亡する。運営側は271番を脱落とみなし賞金が増額。少ない食事を奪い合わせることで参加者同士の分断を誘発するという運営側の企みが残忍だ。就寝時間になった瞬間、ライバルを1人でも多く消すために動き出すドクスたち。参加者同士の壮絶な乱闘が始まってしまった……。
この場面では参加者が仲間を募って派閥を作っていく様子が描かれる。ギフンはかつて馬券売り場で当たり金456万ウォン(約44万円)を盗んだ脱北者のカン・セビョクも招き入れ、襲撃を受けた際に助け合うことを約束する。当初、セビョクは「私は人を信じない。カネに命を懸けるヤツなんか」と言い放ったが、ギフンに説得されたことで少しずつ心を開いていく。
このシーンは現代経済学で活発に議論されているゲーム理論で考えると理解しやすい。ゲーム理論とは簡単に言うと「人間社会は競争と協力のバランスで成り立っているので自分の利益だけを考えて行動しても期待する結果は得られない」とする考え方だ。それぞれの派閥は構成メンバーが協力し合うことで命がけの競争社会を生き残ろうとする。乱暴者のドクスも例外ではない。ただ、誰を仲間に入れるのかについては目的によってそれぞれの戦略や条件があり厳しい選抜が行われる。