夫婦別姓、同性婚、一票の格差…最高裁判所の国民審査、何を基準に投票すればいい?

衆議院議員総選挙と同日の31日に行われる最高裁判所裁判官の国民審査。

衆議院議員総選挙と同じ31日に行われる最高裁判所裁判官の国民審査(写真はイメージ)【写真:写真AC】
衆議院議員総選挙と同じ31日に行われる最高裁判所裁判官の国民審査(写真はイメージ)【写真:写真AC】

不信任票が有効投票の過半数に達した裁判官は罷免となる

 衆議院議員総選挙と同日の31日に行われる最高裁判所裁判官の国民審査。

「憲法の番人」とも呼ばれる最高裁の裁判官が、その職務にふさわしい資質かどうかを国民が投票という形で審査する制度だ。

 最高裁判所とは、「立法」「行政」とともに三権の一つである「司法」の最終判断をつかさどる場。当事者はこれ以上の「控訴」や「上告」はできず、その判断は極めて大きな影響力を持つ。

 こうした非常に強い権限を持つ最高裁の裁判官たちが、それに適任かどうかを見極めるのが国民審査だ。投票所で選挙の投票用紙と一緒に国民審査の投票用紙が渡され、辞めさせたい人がいた場合には投票用紙に「×」を記載する。「×」が有効投票の過半数に達した裁判官は罷免となる。

 今回審査の対象となるのは、15人の最高裁裁判官うち、2017年の前回審査後に就任した11人。主な判断では、「夫婦別姓」を認めないことを「合憲」としたのは深山卓也、林道晴、岡村和美、長嶺安政の4氏。「違憲」としたのが三浦守、草野耕一、宇賀克也の3氏となっている。また、19年参院選の「一票の格差」について「合憲」「条件付きで合憲」としたのが深山、草野、林、岡村の4氏、「違憲」「違憲状態」としたのが三浦、宇賀の2氏となっている。

 戦後この制度ができて以来、これまでに国民審査で罷免された裁判官は1人もいない。過去に不信任票の割合が最も多かったのは、1972年に審査を受けた下田武三裁判官の15.17%で、近年は10%を下回っている。

 一方で、夫婦別姓や同性婚を求める裁判など、社会の変化や価値観の多様化も進んでいる。国として、何が正しく何が間違っているのか。国民審査は国民一人ひとりの意見を司法に届ける貴重な機会となる。

 投票に向け、参考になるのが国民審査を紹介したNHKのサイト。審査対象となる裁判官11人の横顔を、担当した裁判、人柄・趣味などを交えながら詳しく解説している。SNS上でも「素晴らしいサイト」「分かりやすい」と評判になっている。投票に行く前に、ぜひ一度チェックしておきたい。

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