登山中に噴火に遭遇したら…自動車大の噴石、時速100キロの火砕流、有毒ガスから身を守る術は

きょう午前11時43分に噴火した熊本県・阿蘇山。噴火当時、立ち入り規制範囲の中には4人の登山客がいたが、阿蘇市によると、4人全員の無事が確認されたという。2014年の御嶽山の噴火では、死者・行方不明者63人という大惨事となったが、登山中に噴火にあった際にはどのような行動を取ればいいのか。

2018年1月に撮影された阿蘇山の全景【写真:Getty Images】
2018年1月に撮影された阿蘇山の全景【写真:Getty Images】

阿蘇山で立ち入り規制範囲の中にいた登山客は全員の無事が確認された

 きょう午前11時43分に噴火した熊本県・阿蘇山。噴火当時、立ち入り規制範囲の中には4人の登山客がいたが、阿蘇市によると、4人全員の無事が確認されたという。2014年の御嶽山の噴火では、死者・行方不明者63人という大惨事となったが、登山中に噴火にあった際にはどのような行動を取ればいいのか。

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 日本は世界有数の火山国で、世界の活火山の約1割が狭い国土の中に集中している。現在国内に111座あるとされている活火山のうち、33座が登山者に人気の高い百名山に選ばれている。

 火山が噴火すると、どのような現象が起こるのか。内閣府が公開している「登山者の心得 ~火山災害から命を守るために~」という映像資料によると、登山中に噴火に遭遇した際、まず注意すべきことが空から降り注ぐ無数の「噴石」だ。ときには数メートル、自動車大の噴石が飛んでくることもあり、簡易的な避難小屋の屋根などであれば簡単に打ち破るほどの破壊力を持っている。

 より広範囲に及ぶ「火山灰」にも注意が必要だ。視界が悪くなり、目や喉などを痛めることもある。また、「火山ガス」には硫化水素や二酸化硫黄など極めて毒性の高い物質が含まれており、吸い込むと命にかかわることも。臭いを感じたら水でぬらしたタオルなどで口と鼻を覆い、空気より比重の重いこれらの物質が溜まりやすい窪地には入らないようにすることが重要だ。

 最も恐ろしいのが「火砕流」。噴煙が崩れ落ち、数百度に達する高温の火山灰や砕けた岩などが一体となってときに時速100キロを超える速度で流れ下りてくる。1991年の雲仙普賢岳の噴火ではこの火砕流により死者・行方不明者43人の被害が出た。また、積雪期に火砕流が発生するとその熱で斜面の雪が解かされ大量の水となり、土砂や岩石を巻き込みながら高速で遠方まで流れ落ちる「融雪型泥流」となることも。1926年に十勝岳で発生した融雪型泥流は麓の市街地まで達し、144人が犠牲となっている。

 マグマが火口から噴き出し高温のまま地表を流れ下る「溶岩流」も、火砕流ほどスピードは速くないものの、通過した場所を焼失、埋没させるほどの著しい被害をもたらす。

 では、実際に登山中に噴火に遭遇した際はどのような行動を取ればいいのか。

 日本山岳・スポーツクライミング協会副会長でエベレストなどの未踏峰登頂の実績をもつ登山家の尾形好雄氏は「ヘルメットやゴーグルを持参しているのであればそれらを身に着け、直ちに安全な場所に退避すること。それから、事前に火山情報を見て、噴火の可能性がありそうな場合には防災マップなどで避難壕の位置を確認しておくといった下調べが重要」と語る。

 噴火の有無に関わらず、遭難など万が一の事態が起こった際に迅速な救助活動を行うことができるためにも、登山計画書や登山届の提出をしておくことも肝心だ。

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