大久保さんが暮らす高層マンションの敷地内には30棟以上がひしめているが、敷地と外を出入りできるのは1か所だけ。
「敷地を出ようとしたら、24時間常駐の警備員から呼び止められてマンション名が書かれた紙を渡されました。帰ってきたときにこの紙を見せなければいけない、と言われました。この紙をなくしてしまったら、名前、身分証番号(外国人はパスポート番号)、マンションの部屋番号、電話番号、最近湖北省や武漢市へ行ったかどうか、などを書いて提出しなければいけないそうです」
　紙を持っていてもいなくても、敷地内に入る際は体温をはかり熱がないかチェックされるという。厳重な管理が行われているのだ。

「私が外出したのは午後3時頃でしたが、外へ出ても誰も出歩いていませんでした。最寄りのバス停からバスに乗ろうとしたら、間引き運転になっていて20分ほど待ちましたね。やっとバスがきたので乗ったところ、私以外、誰も乗客はいませんでした」
　バスには”マスクをしていない乗客は乗せない“との掲示があった。
「20分ほど乗ってバスを降り、地域のコンビニや飲食店が並ぶエリアでドラッグストアを探しました。スターバックスをはじめ、店の多くは閉まって休業中でしたが、なぜかマクドナルドは開いていましたね」

　なかなか開くいている店がみつからず、たまたま空いていた他店の人などに聞いて、ようやくコミュニティセンターの裏にあるドラッグストアに行き着いたが……。
「店員さんに『マスクはありませんか?』と聞いたら、『入荷していません。入荷の見通しはたってないので、まずはWeChatでこの店の二次元バーコードを読み込んで、入荷情報をチェックしてから来てください』とアッサリ言われました。ガックリしました」

　しかたなく、また20分以上バスを待ってトボトボ帰宅するハメに。
「帰宅前にマンション敷地入り口前にあるファミリーマートに寄ろうとしたら、店の入り口に『マスクをしていないお客さんは店に入らないで下さい』との貼り紙がありました。この時期に店を開けているだけでもありがたかったですね」
　蘇州市のコロナウイルス感染者は2月5日時点で55人。感染の広がりは続いている。