中村獅童、憧れの監督作品出演の夢かなう「情報解禁になったらすぐ分かると思います」
歌舞伎俳優の中村獅童が16日、東京・渋谷のユーロスペースで行われた「そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映」(全国順次開催)初日舞台あいさつに登壇した。
「そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映」初日舞台あいさつ
歌舞伎俳優の中村獅童が16日、東京・渋谷のユーロスペースで行われた「そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映」(全国順次開催)初日舞台あいさつに登壇した。
「友だちのうちはどこ?」にはじまるジグザク道3部作や、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した「桜桃の味」などで知られるイランを代表する巨匠アッバス・キアロスタミ監督の生誕81年を記念して、7作品をデジタル・リマスター版で公開。
学生時代に同映画館に通っていたという獅童は、「久しぶりにユーロスペースに来て、ワクワクしています。キアロスタミ監督の作品がよみがえることに興奮しております」と目を輝かせた。
90年代、ユーロスペースでキアロスタミ監督特集上映を見て、衝撃を受けたという獅童は、「自然な少年の姿といいますか、演技では出せない味。だけど、僕ら役者はそれ(=演技)をやらないといけない。歌舞伎というのは400年の歴史があって型の世界なんだけど、その中に自分の魂とか自分の気持ちをどうやって込めていくかというのを研究するときに、やっぱりキアロスタミ監督の言う自然の姿というのは、現代劇を劇をやるうえでも歌舞伎をやるうえでも、自分に衝撃を与えてくれました」と熱く語った。
また、演技について悩んでいたころ、俳優の柄本明に「どうやったら、うまくなれるのか」と相談したという獅童は、「柄本明さんに「学芸会でいいんですよ、下手でいいんじゃないですか」と言われたのが、いまだにずっと覚えています。学芸会に出る子どもって、純粋にその役を楽しんでいるから、お客さんも「いいね」と拍手する。計算じゃない純粋に楽しんでいる。いくつになっても、自分がキャリアを重ねていろんなことが身に付いてきても、僕は純粋な演じる気持ちは忘れてはいけないと、こういう作品を見ると思う」と感慨深い様子で話した。
さらに、長年、ある監督の作品に出演願望を抱いていることを告白。その監督の作品に出演した俳優の大森南朋から「どっかで会ったら、自分出たいですって言い続けた方がいいよ」とアドバイスをもらったという。実際に、その監督に会えたという獅童だが、打ち明けられなかったそうで、「大胆で図々しい性格に思われがちなんですけど、お会いしたら言えない」とポツリ。
この数年、歌舞伎を中心に活動してきた獅童だが、来年、再来年はテレビや映画の出演にも目を向けているようで、「その監督の作品とか出たいというのを、スタッフを集めて自分の気持ちを言っていた。そしたら、その次の日に映画会社から電話が掛かってきた。どんな役でも出る」と、その監督の作品に出演することを明かした。フォトセッションでは「今日、皆さんに初めて話したお話なので、情報解禁になったら、「この作品か!」とすぐ分かると思います」と声を弾ませた。
最後に、司会者から「ファンを代表して一言」と振られた獅童は、「ファンを代表するなんておこがましい。大変な日常はまだまだ続くけど、一瞬でも夢を見たり、子供の自然な姿を見て優しい気持ちになったり。キアロスタミ監督の作品を見て、その世界観を肌で感じてくれたらうれしい」と話した。
上映作品は、「トラベラー」(1974)「友だちのうちはどこ?」(87)「ホームワーク」(89)「そして人生はつづく」(92)「オリーブの林をぬけて」(94)「桜桃の味」(97)「風が吹くまま」(99)。今回の7作品はパリのmk2、ニューヨークのクライテリオンコレクション、ボローニャのラボ、リマジネ・リトロヴァータが2年をかけて修復した4Kまたは2kリマスター版となり、上映は全作品2Kで行われる。