【ズバリ!近況】「楽しいと思える間は引退しない」織田哲郎63歳の挑戦…YouTubeに人生初のワンマンステージ
楽しさと苦しさが背中合わせだった90年代
(80~90年代を代表するヒットメーカーと)そう呼ばれたこともありますけど、20代のころ、仕事上の人間関係に疲れて音楽をやめようと思ったことがあったんです。だから、それ以降は自分のへ戒めとして、やりたいこと、楽しいことをやっていこうというのが常にあるんです。やっぱり自分で楽しく作れた曲こそ一番破壊力があるものなんですよ。だけど関わる人が増えてくると自分にのしかかってくる責任も大きくなる。そうなると曲が湧いてこなくても無理矢理作らなくてはいけない。
本来は種をまいて芽が出て実が熟すまで待ってから収穫するのが一番良いのに、まるで土の中を掘って種をかき出して食い始めるような飢餓状態というかね。それを繰り返してしまい、音楽家としてどんどんダメージが蓄積されて、90年代後半に心身を壊してしまったんです。本当はちゃんと休んだほうが良かったんだけど、あのころは「休みます」とは言えなかったんですよね。今は曲ができない時はちゃんと休みをとるようにしています。
単純に音楽が楽しくなくなったら引退を考えますが、今みたいに楽しいと思える間はやり続けます。2000年にスペインで強盗に首を絞められて声帯を潰してしまったんです。それでどんなにリハビリをしても音域が狭くなってしまった。あの頃は歌をおろそかにしていたので神様に「もう歌はいいんじゃない?」って言われたような気がしてシンガーとして引退も考えましたが、あの事件のおかげでやり残したことがいっぱいあることに気が付いたんです。今の声の音域を残してくれたことに感謝しながら改めて歌おうと思いました。でも今の歌声の方が自分では好きです。
現代の悩める若者たちにメッセージ
こういう時代なのでちょっとしたことで悩みを抱えてふさぎ込んだり、精神的に落ち込んだりすることも少なくないと思います。あくまで僕の経験談ですが、病んでしまったり死を考えたりする瞬間って、当たり前だけど元気がなくなっているんです。まずちゃんと栄養をとることとしっかり睡眠をとること。実はこれがすごく大事で、意外とそういうところに原因があったりするんです。僕は不規則な生活をエンジョイするために健康に気をつけるのがポリシーなんです。ちゃんとしたものを食べる。そしてなるべく空と海を見る時間を増やす。そして楽しいことや好きなことをやっていく。これが一番面白いですよ。
今こそやりたいことをやらないともったいない。昔はどんなに良い音楽を作っても、テレビやラジオで流してくれないと、雑誌で取り上げてくれないと、誰も聞いてくれないというメジャーシーンがありました。今はテレビタレントよりも素人のYouTuberやインフルエンサーの方が人気になったりしますよね。そう考えたら頭でっかちにならないで好きなことをやった方が良いですよ。やっぱりつまらないより面白いほうが良いじゃないですか。それをみんなに楽しんでもらえたらラッキーだと思ってやっていくのが良いですよ。
□織田哲郎(おだ・てつろう)1958年3月11日、東京都出身。79年にプロデュースユニットWHYを結成。デビュー当初からCMやアーティストの音楽制作に携わる。「シーズン・イン・ザ・サン」「世界中の誰よりきっと」「負けないで」「世界が終るまでは…」など次々とヒット曲を生み出し、B.B.クイーンズに提供した「おどるポンポコリン」はレコード大賞作曲賞を受賞。自身のシングル「いつまでも変わらぬ愛を」はミリオンセラーとなった。これまでに4000万枚を超えるCDシングルセールスを記録し、日本音楽史上歴代作曲家売上げランキング第3位。近年ではKinKi Kids、AKB48などに楽曲を提供。多忙な制作活動の中、自身のライブ活動も精力的に行っており、10月16日より大阪、名古屋、東京の3か所で自身初となるワンマンステージ「織田哲郎 LIVE TOUR 2021 天上天下唯我独奏」を開催する。
織田哲郎公式HP:http://t-oda.jp/
YouTubeチャンネル「オダテツ3分トーキング」
#織田哲郎Youtube
Twitter:https://twitter.com/tetsuro_oda
Instagram:https://www.instagram.com/tetsuro_oda/
ツアー史上初のワンマンステージ!
「織田哲郎 LIVE TOUR 2021 天上天下唯我独奏」
10月16日(土) 大阪 BIG CAT
※オープニングアクト:広沢タダシ
10月17日(日) 名古屋 ReNY limited
※オープニングアクト:七尾旅人
10月31日(日) 東京 日本橋三井ホール
※ゲスト:佐藤タイジ