【電波生活】テレ朝「全力坂」意外な誕生秘話 企画書わずか3行で16年半続く長寿番組に
注目番組の魅力や舞台裏を探る企画。今回はテレビ朝日系の深夜番組「全力坂」(関東地区:月~木曜、深夜1時20分)だ。若い女性やイケメンが全力で坂道を駆け上がる様子を映し出す6分間のミニ番組だが、視聴者に慕われて2005年4月のスタートから16年半続く長寿番組となっている。プロデューサーの佐藤太一氏に意外な番組誕生秘話や制作の苦労、番組作りのこだわりなどを聞いた。
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若い女性やイケメンが全力で坂道を駆け上がる様子を映し出す6分間のミニ番組が、視聴者に慕われて2005年4月のスタートから16年半続く長寿番組として人気を集めている。テレビ朝日系の深夜番組「全力坂」(関東地区:月~木曜、深夜1時20分)だ。プロデューサーの佐藤太一氏に意外な番組誕生秘話や制作の苦労、番組作りのこだわりなどを聞いた。(取材・文=中野由喜)
「この番組が始まる前は、毎年1年で企画が変わる枠でした。次はどんな企画にしようかと会議をする中、ある作家さんが『今日、こんなことがあったので』と切り出したんです。会議に来る途中、渋谷・宮益坂を下っていたら、リクルートスーツを着た大学生と思われる女の子が脇目もふらずに本気で必死に坂を駆け上がってきた、と。就活の面談に遅れそうなのかな、とか、誰かに追いかけられているのかな、とか、いろんなことを思ったそうです。そこで、その作家さんが『女の子が坂を駆け上がるのはどうでしょう』と提案したのです。そのときは企画書にもなっておらず、その場で書いてもらいました。わずか3行でした。会議では話が弾み、いろんな意見が出て番組に結びつきました。まさか3行の企画書が16年半も続くなんて」
番組に登場する坂には何か基準などがあるのだろうか。番組にとって理想的な坂とは。
「名前のついている坂には坂標がありまして、戦前、大正くらいまでに開発された道路に多いらしいです。江戸、明治から生活道路として使われていた所に名前がついている所が多いみたいです。名前がついている方がいいかなと。個人的には風情がある坂がいいと思っています。ある程度、勾配が急で、坂の上か下から坂の全容が見渡せたり、途中に神社とか昔の面影があるような場所が好きです」
16年半も放送していると坂にも限りがあるのではないだろうか。尋ねるとコロナ禍の影響があった。
「3000回近い放送となっておりますが、同じ坂も何度か登場しています。とはいえ1000近い坂で撮影していると思います。コロナ禍の前の昨年春までは東京23区内の坂ばかりでした。コロナ禍以降は密を避けるため調布や埼玉、神奈川でも撮影をしています」
若いタレントの出演が多いように思えるが、出演者に求めることや現場の様子も聞いた。
「出演者を募集したら1000人を超えることもありました。都内のとある坂を実際に走ってもらって選んでいます。一生懸命に全力で、ということを、きちんと表現してくれる人を選んでいます。現場では放送で使える映像を撮影するまで15~20回くらいダッシュしてもらいます。坂によっては距離が50メートル超の場合もあります。本当につらいと思います。1人について1日で2、3か所の坂でロケをやりますから相当、脚にきますよ」