橋幸夫、80歳誕生日で歌手活動引退 喉の衰え理由「歌の馬力、声帯のつや維持できない」

歌手の橋幸夫が4日、都内で会見し、2023年5月3日をもって歌手活動から引退することを発表した。1960年7月のデビュー以来、63年間の歌い手人生に終止符を打つ。

引退会見を行った橋幸夫【写真:ENCOUNT編集部】
引退会見を行った橋幸夫【写真:ENCOUNT編集部】

2023年5月3日が最終公演日

 歌手の橋幸夫が4日、都内で会見し、2023年5月3日をもって歌手活動から引退することを発表した。1960年7月のデビュー以来、63年間の歌い手人生に終止符を打つ。

 大物歌手の身の引き方が注目を集め、NHKなど多くのメディアが駆けつける中、清々しい表情で登場した橋は「デビューが17歳。今年78歳になりまし70を超えたあたりで時々頭に浮かんできたことですが、体力が持つだろうか。このまま歌い手としてやっていけるだろうか」と不安を抱えたことを率直に吐露。もともと「けじめをつけたいタイプ」という性格で、数年前から、“その日”のことを考え、揺れていたという。

 直接の引き金になったのは、2年ほど前から感じ始めた喉の異変だった。

「低音部の声割れ」を自覚するようになったものの、何とか歌手活動を継続していたが「ファンの方が心配顔で見ている。それがつらい。(ステージ上から)敏感に分かりますから」と明かし「隠したり誤魔化したりすることに、私の性格だと自分で嫌気が差してしまう。そういう姿を見せたくなくなる」と逡巡(しゅんじゅん)したという。

 そんな心境に拍車をかけたのが、コロナ禍で歌う機会を失ったこと。コンサートの中止、延期が、橋の喉を一層老化させていったという。

「喉の専門医のクリニックに診てもらったところ、筋力として(喉が)かなり衰えがきております。トレーニングを毎日持続的にやっても戻るかどうか。難しいとは言いにくいんですが、そういうことですと言われました。40代、50代までの歌の馬力と声帯のつやを維持できにくくなることを実感したものですから」と引退に至った直接の原因を語った。

 今年12月からから約2年をかけラストツアー「橋幸夫コンサート 人生は長いようであっというま 夢を持って生きよう」と行い、若いころから橋を支えてくれた全国のファンに別れと感謝の思いを告げる。

 2023年5月3日の最終公演日がちょうど橋の80歳の誕生日に当たり、その日をもって歌手活動から一切身を引く。

 その一方で「芝居をやりたい。時代劇はやりたいね、勝手ですけど」と俳優としての活動には色気をチラリ。歌手引退後には「休みのときにしかできなかった書の世界をやってみたい。スプレーで絵を描くスプレーアートにも興味がありますね」と夢を広げた。

 橋は1960年に「潮来笠」でデビューし大ヒット。新人としてその年のNHK紅白歌合戦に出場した。舟木一夫、西郷輝彦と共に「御三家」と呼ばれ、アイドル的な人気を博した。舟木とも西郷ともあまり連絡を取っていないが、「仲間同士、話をしてみたい」と心境の変化も語った。

 女優の吉永小百合とデュエットした「いつでも夢を」(1962年)、「霧氷」(66年)で、日本レコード大賞にも2度輝くなど「幸せ過ぎると人は言うかもしれませんね」という歌手人生に満足そうな表情を見せた。

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