佐賀から九州全土へプロレスの魅力を発信 地域密着団体「BURST」が着々と前進【連載vol.62】
佐賀県からプロレスの魅力を発信! かつてZERO1で活躍した岩崎永遠をエースに佐賀から九州全土そして日本、世界を目指す新団体「PROWRESTLING BURST」が注目を集めている。
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佐賀県からプロレスの魅力を発信! かつてZERO1で活躍した岩崎永遠をエースに佐賀から九州全土そして日本、世界を目指す新団体「PROWRESTLING BURST」が注目を集めている。
BURSTは2018年にプロレス・フェスティバルとしてスタート。20年に佐賀県神埼市に拠点KANZAKI BASEを設け旗揚げされた。今年5月から月に一度の定期戦を開催。10月は17日で、第3日曜日を「BURSTの日」として地元を中心に定着している。11月、12月の2大会を経て22年の第一弾はビッグマッチが予定されている。
運営会社の鶴有紀代表は「来年1月23日にBURST史上、最大のイベントを考えています。KANZAKI BASEを飛び出して、たくさんの皆さんに楽しんでいただきたいと、準備を進めています」と力を込める。
エースの岩崎も「佐藤耕平さんの力を借りながら、たくさんの選手を招へいしたい。プロレスのさまざまなスタイルを見ていただきたい」とこれまた力強い。
岩崎は17年にZERO1でデビュー。逸材ぶりを発揮し19年にはNWA・UNヘビー級王座を奪取した。将来への期待がいよいよ高まっていたが、20年暮れにZERO1を退団。今年からBURSTで活動を開始している。髪をシルバーに染め、181センチ、95キロの鍛え上げられた肉体を駆使したスケールの大きなファイトを展開。BURSTに加えて他団体にも参戦し、先日は初のハードコアマッチにも挑戦している。
「ハードコアマッチも貴重な経験になりましたが、僕は正統派でいきたいです。子供たちに夢を見せる正義のヒーローになりたいんです」と、照れ笑いを浮かべながら言い切った。
実は一般社団法人「ONE STEP・いのちを学ぶ教室」の専務理事も務める岩崎。リングが常設されたKANZAKI BASEで子供たち相手にレスリング教室を開くプランもある。23歳になったばかりだが、レスラーとしてはもちろん人間としても成長している。
鶴代表はご主人がプロレスファンで、興行の事務手続きなどを手伝っていたが、18年の大会でプロレスを生観戦し、すっかり虜になってしまった。「今では、主人よりも私がハマっています。近所のお年寄りや子供たちが、プロレスを間近にして喜んでくれているのがうれしいですね。この笑顔をどんどん広げていきたいです」と、BURSTにかける熱い思いを明かしてくれた。
原因不明の難病にかかり、10年前に右目を失明した鶴代表。現在も月に一度、上京し大学病院で精密検査、治療を受けている。苦労も多いはずだが、明るい笑顔でBURSTや親会社を切り盛り。「何でもやらないと」と試合撮影も手掛けている。9月29日も天龍プロジェクトの東京・新木場大会に乗り込んだ岩崎をサポートするなど走り回っていた。
KANZAKI BASEで他団体の大会を開催する話も進行中で、鶴代表は「デスマッチをやりたいという団体さんもあるので、2階席を増築する計画もあります」と声を弾ませる。
何より「岩崎をもっと成長させたいです。レスラーとしても人間としても」と、時には優しく時には厳しく、姉のような母のような慈悲深い心で見守っている。
才能があっても素材が良くても、レスラーは上がるリングがあってナンボ。世の中のすべてのことは「人」が動かしている。最後に助けてくれるのは「人」だ。岩崎はそれを痛感していることだろう。レスラーとしての成長はもちろん、恩も義理も忘れない人間になると決意を新たにしている。
佐賀県から九州全土、そして日本全国、いや世界中にBURSTを通してプロレスの魅力を送り届ける。「『佐賀といえばBURST』と、皆さんに言っていただけるようになれば」と鶴代表も岩崎も声をそろえる。この夢を見守りたい。