BLACKPINKのLISA、ソロ曲の2億回超えMVが強烈な理由 アジア的混沌と強い政治的メッセージ
BLACKPINKのメンバー・LISAが発表したソロデビューシングルがK-POPの新記録を次々と塗り替えている。タイトル曲「LALISA」のミュージックビデオ(MV)は10日に公開され、わずか2日後に再生回数1億回を達成。K-POPソロアーティストのMVで最短記録を打ち立てた。YouTubeチャート(10~16日集計)でも「グローバルYouTubeソングTOP100」で1位に君臨した。“美の暴力”とも呼ぶべき豪華絢爛(けんらん)な映像に目を奪われるが、実はこのMVにはLISAならではの強いメッセージが込められているようなのだ。
BLACKPINKのYouTube登録者数はジャスティン・ビーバーを抜いて世界1位
BLACKPINKのメンバー・LISAが発表したソロデビューシングルがK-POPの新記録を次々と塗り替えている。タイトル曲「LALISA」のミュージックビデオ(MV)は10日に公開され、わずか2日後に再生回数1億回を達成。K-POPソロアーティストのMVで最短記録を打ち立てた。YouTubeチャート(10~16日集計)でも「グローバルYouTubeソングTOP100」で1位に君臨した。“美の暴力”とも呼ぶべき豪華絢爛(けんらん)な映像に目を奪われるが、実はこのMVにはLISAならではの強いメッセージが込められているようなのだ。(構成・文=鄭孝俊)
交互に現れる黒(BLACK)とピンク(PINK)の世界
YouTubeにアップされている「LALISA」のMVは公開2週間で2億回を突破、なおも再生回数を伸ばし続けている。この動画をめぐってはネット上でさまざまな考察が発表されているが、十分に解明できているとは言い難い。LISAと映像制作チームがMVに込めた意図を順を追って分析していきたい。
MVの冒頭からすでに仕掛けが始まっている。LISAは舞踏会や晩餐会で着用する豪華な夜会服を着て後ろ姿を見せているが、照明に注意すると黒の背景とピンクの光が交互に現れる。つまり黒(BLACK)とピンク(PINK)の世界だ。LISAがBLACKPINKのメンバーであることを強く主張する演出だ。
IRON MAIDENとKISSは70~80年代音楽へのオマージュ
この夜会服と同時に現れるのが、「IRON MAIDEN」(アイアン・メイデン)のロゴや悪魔の顔が入った極彩色のジャケット&スカートだ。IRON MAIDENはイングランド出身のヘビーメタルバンドで80年にアルバム「鋼鉄の処女」でデビュー。ヘビメタブームの代表格、メタル革命の先駆者として知られている。ジャケットの背にある悪魔の顔は73年に米国で結成されたハードロックバンド・KISSのベーシストとして熱狂的な人気を誇ったジーン・シモンズだ。
ジーンの顔の左側には聖母マリアの顔が配置されている。聖母と悪魔はそれぞれ善と悪を象徴しており、その両方を抱えて生きざるを得ない人間の二面性を表現していると同時に、韓国音楽界で大流行しているニュートロ(ニューとレトロの合成語)のテイストも感じさせる。BLACKPINKの「Lovesick Girls」(20年)もニュートロサウンドだ。ちなみに「KISS」という言葉は同じく「How You Like That」(20年)の歌詞の中に出てくる。