夢は土地を所有する月でのプロレス道場建設や宇宙での強豪スカウト とてつもない野望へ一直線の逸材【連載vol.60】
今度こそ必ずベルトを獲る! 大日本プロレスの星・野村卓矢がストロングヘビーの頂点へ駆け上がる。
殺気みなぎる闘いへ 元UWFの山崎一夫氏の指導受ける
今度こそ必ずベルトを獲る! 大日本プロレスの星・野村卓矢がストロングヘビーの頂点へ駆け上がる。
7・23東京・後楽園ホール大会で、BJW認定世界ストロングヘビー級王者・中之上靖文に挑んだ野村卓矢。闘志むき出しの激しいファイトで終始押していたが、中之上も意地で踏ん張り、無念の30分時間切れドロー。会場は拍手が鳴りやまず、声は出せずとも異様な熱気に包まれた。
「俺は負けてない!」と野村。そして引き分け防衛の王者にも「おまえも勝ってない!」と現実を突きつけた。中之上の差し出した握手を、鬼の形相で拒否。「プロレスは闘いなんだ」と負けん気の強さを全開させた。
決着戦を要求していたが、9・20北海道・札幌大会での再戦が決定した。先んじて9・5愛知・名古屋大会で「アストロノーツ」のタッグパートナー・阿部史典が中之上に挑んだものの、阿部は体格差の壁もあり敗退。サムライTVの試合中継で、登坂栄児社長は「中之上の完勝! 激勝でありました!」と実況していたが、トリッキーな動きでは勝てない力の差を王者が見せつけた。
その結果、9・20札幌大会の再戦にタイトルがかけられることになった。「今度こそ必ず」と野村の意気込みは半端ない。
野村は今の大日本プロレスのストロング部門には、殺伐さが足りないという。昭和の新日本プロレス、UWFなど殺気みなぎる闘いを目指しており、頑丈だが人の良さと優しさが見え隠れする中之上のファイトをもどかしく感じているようだ。
「怒らせて、王者の怖い部分を引き出したい。そして俺が勝つ!」と力をこめる。相手の力を最大限に引き出した上で自分が勝つ。それはまさに、風車の理論だ。相手を怒らせれば、予想外の反撃に合うこともあり、実際やりこめられてしまったこともある。だが野村は、生来の負けず嫌いさく裂で、負けても悔しさをバネにする。
レスラーは負けて強くなる。負けを知らない選手に、本当の強さは身に付かない。負けた試合を糧にすることで、次なるステップへ進み、成長できることも多い。
9・20決戦に向け、ダッシュ、走り込み等を重点的に行い、スタミナ強化に励んでいる。ブリッジ、スクワット、柔軟……。器具を使ったトレーニングももちろん大切だが、基本的な練習に重きを置く。
大日本プロレスの道場を訪れた、元新日本プロレス、UWFの山崎一夫氏には、瞳をキラキラさせながら熱心に蹴りと関節技を教わり、見た目よりもはるかにキツイ、いにしえのタオル引き特訓も敢行。手ごたえをつかんだ。
札幌遠征時には、元UWFインターナショナル・山本喧一氏のジムに出稽古。たっぷり汗を流し、温故知新ともいうべき練習を行った。