解説の魔裟斗も絶叫! 物議を醸した青木真也戦の勝者・自演乙が引退直前に10年前の真相を激白
解説の魔裟斗氏も絶叫…シャワールームでの秘話も
ちなみにあの試合で非常に強烈な個性を発揮した人物がもう1人いる。解説席にいた魔裟斗である。
1年前に引退した魔裟斗は、青木を倒してリング上で歓喜する長島に対し、「乙! 乙! よくやった!(よく勝った)」と解説席で絶叫したのだ。
「あのとき、魔裟斗さんはムカついとったんですよ」
長島はその理由は、長島の試合の前に行われた試合で、K-1ファイターがふがいない結果を残していたからだと推測した。
「そんなフラストレーションが溜まった中で、相手のルールで僕が勝ったから爆発したんです」
実は長島は、現役時代の魔裟斗とも練習をさせてもらったことがある。
「魔裟斗さんと練習したといっても首相撲とボクシングスパーを何回かさせてもらったくらいですね。魔裟斗さんの練習には口を出せないし(長島からスパーリングをしてほしいとは言えなかった)」
それでも「これが魔裟斗か!」を感じる瞬間は十分に体感した。
「その感覚は(魔裟斗の)練習を見ることによって感じました。練習密度の濃さですよね。世界チャンピオンってこんな練習しているんやなってそこで実感できました」
そんな中、魔裟斗に声をかけてもらったことで覚えているものがある。
「シャワールームですれ違って、『長島くんも男なんだね』って言われましたね(笑)」
当時、長島は女性のアニメキャラのコスプレで登場することが多かったため、魔裟斗には女性的なイメージを持たれていたということか。
そんな魔裟斗が青木に勝った瞬間には「乙! 乙!」と叫んだのだから、いかに感情がこもっていたのかが分かる話だろう。それだけ魔裟斗にはK-1に対する強いプライドが存在しているという話である。
「そりゃあ、MAXを作ったのはあの人ですからね」と長島は魔裟斗の思いを分析した。
引退試合は3人を相手にエキシビションマッチ
ところで、来る9月23日に実施される長島の引退試合は、長島が指名した3人のファイターとの3分1Rずつのエキシビションマッチと発表されている。
「東京から大阪に戻って来たときに練習していた麻原将平、ずっと一緒に練習してきた左右田泰臣、彼は必ず現役に復活してくるし、復活したら交わることはできないだろうし(笑)。何より一番の友達やと思ってますから。RIZINファイターの中村優作は日本拳法の後輩。RIZINファイターがボクシンググローブをつけて、僕の引退に付き合ってくれるんですよ。僕もRIZINファイターやけどね(笑)」
前述通り長島は、15年大みそかのRIZIN旗揚げ戦にも参戦。アンディ・サワーとのMMA戦に敗れたものの、現在に至るRIZINの礎を築いたメンバーの1人でもある。だからこそ、長島は現在のRIZINを「コロナで大変やろうな」と気にかけながら見守っているようだ。
例えば現在開催中のバンタム級グランプリにしろ、「(興味深いのは)井上直樹じゃないですかねえ。過去にUFCでやってて、僕の中ではグレードが高い人っていうイメージなので。(優勝に)行くでしょう。9月19日の金太郎戦? 金太郎は正道会館で練習しているんでしょう?」と常に最新情報を更新している様子が見て取れた。
「最近は引退したボクサーみたいになっているので、(引退試合に向けて)もう少し見れるカラダにしたいっていうのと、ケガをどうかばいながらできるかなっていうのはありますね」
そう言って、引退試合への注意点を述べた長島。どうやら当日のコスプレも決めているようだが、それは当日、来場した方だけのお楽しみといったところだろうか。
振り返ると長島はデビューする前、両親から「(最前線でやれる時間は)短いし、成功するか分からへんやろう。真面目に働いて就職せえ」と言われたという。それが紆余曲折ありながらも、無事に現役を終え、1年半前からはジムの運営をスタートさせた。
「長い格闘技人生でしたね。格闘技でこれだけ飯を食えたのが自慢なのかなと。これからはジムで生きていくってことは、格闘技で生きていけるってことなので」
とはいえ、慣れていないこともあって、毎日決まった時間にジムに顔を出すのがシンドいときもある。それでも、「夢だったK-1の日本王者になったし、思っていたことが全部、実現できる人生だった」と話しながら、今から何かを始めたいと思い悩んでいる人たちにエールを送る。
「くすぶっているとか、何かにチャンレンジしたいヤツがおるんやったら、失敗したときのことを考えるのは小さなこと。失敗したことを考えないくらい熱いものがあるんやったら行くべきでしょう。少なくとも僕は、やりたいことは全部やりました」
当面は「02GYM」で後進の育成に務める長島。もちろん近い将来、長島の指導を受けたファイターが、格闘技界を背負うような人材に育ってくれることを望んでやまないが、何はともあれ、今は「自作自演」ではなく、率直に「お疲れ様でした」との言葉を贈りたい。