【電波生活】岡田圭右、クイズバラエティーを支える“司会力” 演出サイドが感心「ギャグですべって安心」
テレビやラジオなどの注目番組の魅力や舞台裏を探る企画。今回はBSフジ「クイズ!脳ベルSHOW」(月~金曜、午後10時)だ。難関大学出身者らが難問に挑むクイズ番組とは異なり、お笑いタレント・岡田圭右(ますだおかだ)が司会を務める脳トレ的問題が中心のクイズバラエティー。2015年10月のスタート時は週1回の放送だったが、1年後に週4回、17年4月には月~金曜の帯番組に出世した中高年に支持されている。演出の丸林徳昭氏に番組のこだわりや人気の要因を聞いた。すると岡田の偉大さが見えてきた。
演出の丸林徳昭氏を直撃 ゲスト解答者の年齢は40歳以上で「上限なし」最高は92歳
難関大学出身者らが難問に挑むクイズ番組とは異なり、お笑いタレント・岡田圭右(ますだおかだ)が司会を務める脳トレ的問題が中心のクイズバラエティー「クイズ!脳ベルSHOW」(BSフジ、月~金曜、午後10時)。2015年10月のスタート時は週1回の放送だったが、1年後に週4回、17年4月には月~金曜の帯番組に出世した中高年に人気の番組だ。演出の丸林徳昭氏に番組のこだわりや人気の要因を聞いた。すると岡田の偉大さが見えてきた。(取材・文=中野由喜)
「言いづらいですが、実は僕はクイズ番組が好きではなかったんです。知識が豊富なすごい人を見るだけなので。僕らの番組は、気軽にみんなが楽しめることを優先し、視聴者が出演者より、なるべく先に解いてもらえるような問題を心掛けています。クイズ番組に限らず自分よりすごい人たちをずっと見ていたら、しんどくなるじゃないですか。自分よりお金持ちの人とかも(笑)。出演者より視聴者が優位な気持ちで楽しめることを意識しています。クイズ作家約8人とスタッフも4チームあり、みんなで問題を考えます。難しくなり過ぎないように意識しています」
問題は昔のヒット曲の歌詞の一部や数十年前の人気商品の当時の価格など、懐かしさを味わえる。パネラーと呼ばれる4人のゲスト解答者も、数十年前に一世を風靡(ふうび)した懐かしい顔ぶれが多い。なぜか、みんな穏やかで人の良さを感じる。
「中にはネットで調べても出てこない方もいますが、社内の50~60代の社員から、あのアイドルが好きだったという声を聞き、今は地上波に出演していなくても、BSの視聴者がときめく昔のスーパースターは結構いると気付きました。岡田さんが野球やプロレスが好きなので、そうした方々も出演するようになっていきました。その出演者の方々の人の良さを感じるのは岡田さんと川野さんの力だと思います」
岡田の力とはどういうことだろう。
「ゲストの懐に入っていくうまさ。岡田さんは、ほとんどのゲストと初対面ですが、そう感じさせません。ゲストの人数を、他のクイズ番組と比べても圧倒的に少ない4人にしているのは、岡田さんの力でそれぞれの方の個性を引き出すために最適な人数だからです」
岡田の魅力を感じることはまだあった。
「すごく気遣いの人。カメラが回っていないときに、四十数年ぶりのテレビ出演とか、初めてのクイズ番組で緊張するゲストにずっと話しかけています。ギャグですべって安心させ、空気を温めてくれます。緊張していたゲストみんなが面白かったと言って帰っていきます。中にはマネジャーさんがよく説明しなかったせいか、ドラマの現場だと思ってスタジオに入ってきた女優さんもいましたが、楽しかったと言って帰っていきました」
週5日放送の1時間番組。驚いたのは1週間分5本をたった1日で収録していること。
「週5日分を1日で収録して編集する1時間番組は、他には無いかもしれません。僕も最初にやると聞いたときはびっくりしました。岡田さんもパワーがいることだと思います」
ゲストの選出は視聴者層を考え40歳以上で上限はなく、これまでの最高齢は92歳。バラエティーの出演機会が少ないから価値があるととらえ、プロレスや野球界からも。岡田は、そのスターたちの栄光の詳細をトークに織り込んでいる。台本にあるかとも思ったが。
「岡田さんはテレビっ子で、野球が好き、プロレスが好き。子どものときにテレビを夢中になって見ていた人。知識はすごいです。懐かし系クイズにはすごく向いています。好きな野球選手は背番号まで言えます。プロレスもあの時のあの試合がどうだったとか」
岡田は氷室京介、西城秀樹さん、安全地帯の物まねを披露することもあり、昭和の香りがする。進む高齢化社会にフィットし、番組の人気は年々高まっていく気がする。