飯伏幸太、「プロレス少年がそのまま大人に」は過去の姿 近づく「ミスタープロレス」への道【連載vol.59】

「涙」「挫折」「苦悩」が引き出すレスラーの魅力

 一連のふがいない出来事で、飯伏は多くを知った。何事もコヤシとし大きくなることがファンへの、プロレス界への、そして棚橋への恩返しになる。「プロレスの妖精」「不思議ちゃん」だった飯伏が、今や新日本プロレスだけでなく日本のプロレス界を背負って立つ大黒柱の一本になろうとしている。

「スゴイものを見せたい」「その時、最高のものを」「僕しかできないことを」という熱い思いに加え、その裏にある「涙」「挫折」「苦悩」が試合に醸し出されるようになるだろう。

 体調が完全に戻った時には、日本プロレス史をリードしてきた猪木、馬場、天龍、三沢、小橋、棚橋ら「ミスタープロレス」たちと、同じ空気感を感じさせてくれるはず。

 テレビ放送席で「日本の宝」と評したことがある。この発言に飯伏も「力をもらいました」と後々言ってくれた。実際に飯伏は天辺に向かって進んでいく。IWGP奪取で一度は頂点にたどり着いたが、まだまだ棚橋の域には達していない。

 もっともっと上に行く、飯伏ならばもっと上に行ける。今こそ「エース超え」である。涙は心の汗と言う。メットライフドームで流した涙で、さまざまな思いを一掃したはず。

 君には翼がある。空高く、どこまでも突き抜けてほしい。(文中一部敬称略)

次のページへ (3/3) 【写真】エース・棚橋弘至の存在感は不滅
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