ウィキペディア編集者ってどんな人? あなたの知らない“ウィキペディアン”の生態
コロナ禍で高まる新規ユーザー参入のハードル、専門家視点も熱望
“荒らし”のような明確な迷惑行為のみならず、地味に困るというのが1ページに膨大な情報を書き加えていくという編集方法。読みづらいだけでなく、サーバーにも負荷がかかるため、できるだけ記事を分割するよう呼び掛けているという。
「ご長寿バラエティー番組等では、毎週内容が書き加えられ、途方もない長さになっていたりしますね。これは日本語版で特によく見られる傾向です。読みづらいし、記事のクオリティーも下がる。ウィキペディアンとしては見過ごせない問題です」
孤独に資料と向き合うイメージの強いウィキペディア編集だが、実は大勢で集まって編集を行うイベントもある。コロナ禍では、「エディタソン」と呼ばれるこうした集まりが軒並み中止に。新規ユーザー参入への障壁は頭の痛い問題だ。
「町興しも兼ねて地方図書館の資料をもとに町の歴史を編集する『ウィキペディアタウン』というイベントは、ライトユーザーの方やお子さんも参加しやすくとても人気があったんですが、コロナ禍でなかなか開催できていない。他の趣味でも同じように、古参の方から『ウィキペディアをなめるな!』みたいな注意を受けてやめてしまう新規の方も多い。でも、今ベテランといわれる人たちも最初は全然できてなかった人たちばかり。怒られてもへこたれずに編集を続けてほしいですね」
新規ユーザーの獲得と同じく、北村さんが切望するのが各分野の専門家の視点だ。
「ウィキペディアンといっても、それぞれの分野では素人。マイナーカテゴリーでは編集者によって明らかな偏りもありますし、学術的見解によって意見が割れることもある。画像の提供も継続的に必要で、学会や図書館、博物館との協力関係がなければ限界があります。できるだけ多くの専門家の人に参加してもらって、各分野のガイドラインを作ってもらえれば」
決して完成しないということこそ、ウィキペディア編集の最大の魅力なのかもしれない。