「安田忠夫の人生劇場」はどうなる? YouTubeをいったん卒業する元格闘家の波瀾万丈な人生
2018年5月にスタートしたYouTube「安田忠夫の人生劇場」で話題を集めていた「借金王」安田忠夫がYouTuberをいったん卒業した。
「1試合だけのスポット参戦ならできるかも」
2018年5月にスタートしたYouTube「安田忠夫の人生劇場」で話題を集めていた「借金王」安田忠夫がYouTuberをいったん卒業した。
「辞めたよ」と、いつものように淡々と話す安田。日々、忙しくさまざまな仕事をこなす毎日を過ごしているようだ。もちろんギャンブルからは離れられるはずもなく、人生を刹那的に楽しむ男の人生はやはり波瀾万丈。都市伝説を日に日に重ねている。
格闘家としての安田は、大相撲で小結に昇進し、新日本プロレス入り。総合格闘家としても2001年大みそかには「K-1の番長」ジェロム・レ・バンナを下す金星を挙げ、02年にはIWGPヘビー級王座にも君臨している。195センチ、130キロの巨体を、丸い土俵から四角いリングで躍動させた実績は今でも光り輝いている。
ただその私生活は波乱続き。多くのエピソードを残している。さまざまな名場面が思い出されるが、中でもある日の福岡空港での出来事は忘れられない。搭乗時刻までみんなでお茶を飲むことになったのだが、安田の口から「30円しか持ってない」という衝撃発言が飛び出した。
「30円!?」
笑ってはいけないのだが、その場にいた全員が、しばしポカンとした後、抑えた笑いが起こった。例えば100円と言われれば、あまり哀れな感じはしない。また、0円つまり「一銭も持っていない」と言われたら、財布を忘れたのかもしれないと思うだろう。
「30円」というのが何とも微妙で、大きな体を少し丸め照れくさそうにモジモジする安田の姿が、今でも鮮明によみがえってくる。
ギャンブル好きな安田が無駄遣いしないよう、猪木は現金を渡さないようにしていたという。前日に150円もらった安田はジュースを120円で買い、残りが30円となった…と、まことしやかにささやかれた。
以来、安田と会うたびに「今日の所持金はいくらなのだろうか」と頭に浮かぶようになってしまった。あるとき、思い切って聞いてみた。「今日の所持金はいくら?」「え、それを俺に聞く?」と苦笑いしつつもポケットの小銭を確かめた安田は、ちょっと誇らしげに「今日は258円!」と胸を張った。
12年を最後に試合から遠ざかった後は、パチンコ店、ケンドー・カシンのお兄さんの養豚場、太陽光発電パネルの営業、レンタルルームの掃除、カンボジアのカジノ、ロシアンパブの呼び込み、タイのカラオケ店、警備会社など何度も職を変え、各国各地を転々としている。
「長続きしないんで…」と頭をかくが「でも、どんな仕事でも楽しんでやれるんだ。それが俺のいいところかな」と前向きそのもの。環境になじむ柔軟性と適応性を持ち合わせている。
山あり谷ありの人生だが、「まあ、食うには困らないし、周りにギャンブル好きが多いから話も合うし、もう居心地が良くてねぇ」とほほえみを浮かべる。
安田の金銭的な苦労はギャンブルに起因する。一時はバンナ戦で使用したグローブなども全部、売ってしのいだという。
ギャンブルさえしなければ、もっと安定した平穏な人生だったのではないかと思うのだが、安田は今後もギャンブルは続けると明言。「だって、俺からギャンブルを取ったら何も残らないじゃない」と豪快に笑い飛ばした。
その笑顔には一点の曇りもない。「一度きりの人生。好きなように生きるさ!」――そんな心の声も聞こえたような気がする。心配でもあるが、ある意味、うらやましくもある。
リング復帰については「練習もしてないし難しいけど、1試合だけのスポット参戦ならできるかも」と、色気もチラリ。どこかのリングで安田忠夫の「闘う人生劇場」を見られるかも知れない。
そのときの所持金は一体いくらなのだろうか。