韓国アフガン脱出「ミラクル」作戦で注目の映画「モガディシュ」 韓国メディア続々報道

アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが首都カブールを制圧したことで国外への退避希望者が空港に殺到するなか、韓国政府はカブールに空軍の輸送機3機と空軍特殊部隊を送り込み、タリバンから報復を受ける危険があった現地のアフガニスタン人スタッフとその家族390人を韓国に移送した。このオペレーションは「ミラクル作戦」と呼ばれており、文字通り“奇跡”のような脱出劇を成功させた。

アフガニスタンのカブール空港【写真:Getty Images】
アフガニスタンのカブール空港【写真:Getty Images】

1991年のソマリア内戦 首都モガディシュからの生死をかけた脱出劇を描く

 アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが首都カブールを制圧したことで国外への退避希望者が空港に殺到するなか、韓国政府はカブールに空軍の輸送機3機と空軍特殊部隊を送り込み、タリバンから報復を受ける危険があった現地のアフガニスタン人スタッフとその家族390人を韓国に移送した。このオペレーションは「ミラクル作戦」と呼ばれており、文字通り“奇跡”のような脱出劇を成功させた。

 この「ミラクル作戦」で注目度が急上昇している韓国映画がある。7月28日に韓国で公開されたアクション映画「モガディシュ」(リュ・スンワン監督、ロッテエンターテインメント配給)だ。舞台は1991年のソマリア。内戦状態に陥った首都モガディシュ(日本語表記:モガディシオ)に取り残された韓国と北朝鮮の大使館員・家族が協力して必死の脱出劇を繰り広げる実話に基づいたストーリーだ。すさまじい銃撃戦、スケールの大きいカーチェイスなど手に汗握るシーンの連続と俳優のキム・ユンソク&チョ・インソンの熱演で人気を呼び、公開1か月で早くも約300万人の観客動員数を記録している。

 韓国メディアは今回の「ミラクル作戦」を1991年のモガディシュ脱出と重ねて次々と論評している。「メディアトゥデイ」は「7月28日に公開後、タリバンがアフガニスタンを占領する事態が勃発し、現実と映画の中の状況が重なっていて再度注目を集めている」と指摘。

 また、「オーマイニュス」は「カブール空港でアフガン公使参事官とアフガン現地大使館の職員が感激に浸って抱擁する場面自体が映画の一場面だった」と論じ、30年前と今を比較する必要性を指摘。当時の盧泰愚政権は国連加盟を目指して北朝鮮と競争関係にあり、加入のキャスティングボートを握っていたのがアフリカ諸国でソマリアもその1つだった。

 このような南北の分断を超越した脱出劇について「『モガディシュ』のテーマはそのまま今回のミラクル作戦の目標とつながっている」としながらも「政治と宗教を超越して救出をやり遂げた2021年とは異なり、30年前、私たちの政府は特殊任務団を派遣する余力がなかった」と過去を振り返った。

「アジア経済」は「映画『モガディシュ』で韓国人が現地の内戦状況を切り抜けて劇的に脱出したように、アフガンの状況も緊迫していた」という青瓦台関係者の話を紹介。「クッキーニュース」は「モガディシュより劇的  アフガン人救出 彼らがいなければ」という見出しの記事を配信し、国防部の話として「同盟国である米国の全面的な協力があったからこそ可能だった。英国、カナダなど友好国のカブール空港境界サポート、パキスタン政府の空港使用協調、インド、マレーシア、カンボジア、タイ、ベトナム、フィリピンなどの領空通過許可なども成功の要因だった」と報じた。

 今回のカブール脱出作戦が成功したことで映画「モガディシュ」に大きな追い風が吹きそうだ。(※参照記事はいずれも電子版)

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