「人は結果論で語りがち」 頭脳戦eスポーツのトッププロが語る“運要素”との付き合い方

「eスポーツの裾野を広げていくことに取り組むべき」

 Rumoiは個人大会でも安定した成績を残しており、大型大会では公式配信の場で戦うことも少なくない。一方で優勝の経験はまだなく、その先にある“世界”への挑戦に向けての渇望を明かした。

「シャドウバースを始めてからずっと、世界大会出場を目標にしてきました。そのためにはRAGE(シャドウバースの大型大会)準優勝以上か、世界大会予選を突破するしかないんですが、いいところまで行って負けることが続いています。とにかくあと一歩、勝ち切れるようにするしかないですね。そこまで行って勝てていないのは不運なところもあると思いますが、言い訳せずに今までどおり練習して、結果が付いてくるのを待つしかない。戦績自体はすごく伸びているので、今までのままやっていけば結果も付いてくるはずだと思っています。

 世界大会を目指す理由は2つあって、1つ目はプロとしてやる以上、そのラインに立ちたいということ。もう1つはくだらないかもしれませんが、子どもの頃から『何かで世界大会に出たい』と思っているんです。以前、別のゲームで世界大会に行く直前の惜しいところまで行って負けてしまい、シャドウバースでも惜しいところで負け続けています。シャドウバースは今、僕が最も結果を出せるゲーム。小さな頃からの思いをかなえることができたらなと思っています」

 メジャータイトルである「シャドウバース」を最前線でけん引するRumoiは、自身がプロ入り前から感じていたように、eスポーツ自体の発展への貢献も意識する立場にある。現在、その意識はより多くの人々に、さまざまな形のeスポーツを知ってもらうという方向性になっているという。

「eスポーツ界全体を引っ張るというのは、FPS(ファーストパーソン・シューティング)などの競技になっていくのかなと思っています。誰にでも分かりやすいですし、もし僕が知識ゼロで見たら、カードゲームよりFPSのほうが面白く感じると思います。

 だからこそ、僕がやるべきことはカードゲームの面白さを少しでも他の人に伝えること。eスポーツに少しでも興味を持ってくれている人に、『こういうものもあるんだよ』と伝えたいなと思っています。FPSなどのメインストリームになっているゲームにeスポーツ全体を盛り上げてもらいながら、僕はeスポーツの裾野を広げていくことに取り組むべきなのかなと考えています」

 地道な鍛錬を重ね、競技シーンのトップを走り続けるRumoi。その先にある“世界”への挑戦、そしてeスポーツの一つとしてのデジタルカードゲームを広める活動に注目していきたい。

□Rumoi/12月22日、東京都出身。プロeスポーツチーム・AXIZ「シャドウバース」部門で構築ルールを担当。デビューシーズンに勝率100%を記録するなど、リーグ屈指の実力者として名を馳せ、2019-20シーズンにはチーム初の年間優勝に貢献した。選手名の由来は愛犬の「るもい」から。

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