【追悼】日本が誇るアクションスター・千葉真一さんは少年の心でエンタメを愛した男だった
日本人が自慢できるただ1人のアクションスター
「キイハンター」が73年に終了してからは映画に意欲を示し、同年の主演映画「ボディガード牙」は欧米でもヒット。「激突!殺人拳法」(73年)は米国の18都市で上映されてベスト5位にランキングされた。
「香港のジャッキー・チェン、ハリウッドのスティーブン・セガールなどがいる映画界で、日本人が自慢できるただ1人のアクションスターが千葉真一だった。69年に『ジャパン・アクション・クラブ』を設立して後進の育成に務め、真田広之や志穂美悦子らを世に出したけど、アクションスターという肩書は千葉の専売特許みたいなものです」(映画関係者)
姉さん女房だった野際陽子さんとの結婚も人気を後押し
私生活では「キイハンター」で共演した野際陽子さんと73年に結婚。まだ年上婚が珍しい時代に「千葉真一が3歳上の姉さん女房をもらった」と注目された。ヤンチャな千葉さんがメロメロになり、野際さんが年上の貫禄で受け止めているイメージが浸透。そのことも千葉さんの人気を押し上げた。
ただ、野際さんとは94年に離婚。このとき千葉さんは都内のホテルで会見し、長年の映画製作などで負ったとされる借金について質問を受けた。
「千葉さんは両手を広げ、堂々たる口調で『私のどこに借金があるというのでしょう』と答えた。その貫禄にリポーターたちもたじろぎ、深く追及できないほどでした。野際さんが取り立てを受けないよう偽装離婚したという声も上がっていましたが……」(芸能リポーター)
映画への思いは少年のようだった
90年代に入ってからは米ハリウッド進出を意識。海外では「Sonny Chiba(サニー・チバ)」を名乗り、03年には千葉のファンを自認するクエンティン・タランティーノ監督(58)の「キル・ビル」に出演した。このとき主演のユマ・サーマン(51)らに剣術指導をしている。
「10年ほど前、あるパーティーでたまたま千葉さんの隣りに座ったら、『今度、武士道をテーマにした映画を撮りたいんです』と企画書を見せながら熱っぽく語ってくれました。映画への思いを世間に知ってもらいたいという一心だったようで、少年みたいに前向きな姿を見て、この人は本当にエンターテインメントの世界が好きなんだなと感心しました」(前出の芸能記者)
野際との間に生まれた真瀬樹里(46)は女優として活動。再婚した一般女性との間にもうけた新田真剣佑(24)と眞栄田郷敦(21)も俳優として活躍の場を広げている。父の志を継いでハリウッドでも花開いてもらいたい。