「ミニシアターを救いたい」 入江悠監督の思いが実現させた異例の“手作り試写会”

「音が聞こえません」「顔がよく見えません」手作りならではのトラブルも…

 映画は入江監督が自ら出資し、クラウドファンディングの支援金のみで製作。キャストも監督自身がSNSで呼びかけ、2500人から選出され、スタッフは現場がなくなり、行き場を失ったベテランや学生が結集。製作費は前作「AI崩壊」の10分の1以下だと思われるが、「食事だけは豪華にしたい」と力を込めて臨んだ、とのこと。「『サイタマノラッパー』のときはおにぎりを配って終わりって感じだったから」と入江監督。スタッフ、キャストの胃袋をつかんで、愛情いっぱいの痛快作を作り上げた。

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 Zoomでミニシアターをつなぐ試みには、技術的なトラブルもあったが、むしろ、そこに手作りの良さがあった。各劇場からは「音が聞こえません」「暗くて、出演者のみなさんの顔がよく見えません」といったフィードバックもあって、最後には、ちゃんとした中継が実現。出演者の吉岡睦雄は故郷・広島の横川シネマから出演し、「家族、友人、元カノたちが来てくれました!」と熱狂ぶりを報告。24のミニシアターが一緒になってイベントを作り上げた感じがあり、地方シアターの熱気も東京の会場に伝わってきた。

 映画は8月21日公開のユーロスペースなどをスタートに、順次、全国30以上のミニシアターを巡っていく。入江監督は「(コロナ禍で)いろんな動きが制限され、出会いが少なくなるのは悔しいなと思っています。今、皆さんの姿が見えていますけど、行ったことがない劇場もあるので、このタイミングで全国を回っていきたい。まだ客足が戻らないという支配人さんもいますが、何とか戻したいと思います」と決意を新たに。各劇場も相次いで、SNSで入江監督、出演者に感謝を伝えている。

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