日本の夏をますます暑くする「王道トーナメント」が開幕 優勝争いは混とん【連載vol.55】
くせ者ぞろいのトーナメント その筆頭は?
アブドーラ・小林も王道のテッペンを虎視たんたんと狙っている。関本大介でもなく岡林裕二でもない小林が大日本プロレスから参戦するのだ。「明るく楽しく激しく」という馬場さんが提唱した王道プロレスのテーマを「俺のためにあるような言葉だよね」とうそぶく。
確かに小林のファイトは、明るいし楽しい。デスマッチで披露する捨て身の闘いは激しい。昨年の最強タッグリーグ戦でも「アブドーラ・小林、ここにあり」と強烈なインパクトを残している。「いろんな選手が出ている。自分の試合だけじゃなくて、他の選手もチェックしたい。何なら『俺が王道』じゃないの」と野望は膨らむ一方である。
世界タッグ王者の宮原、青柳優馬も注目だ。3冠決定巴戦でジェイクに敗れており、王道トーナメントを制して王座挑戦をアピールしたいところ。青柳優馬はここにきて何故か「陰湿キャラ」を自ら禁じているが、このまま封印してしまうとは思えないし、もったいない。今はおとなしくして、ここ一番での「陰湿大解放」を狙っているのか? 唯一無二の個性を存分に発揮して、打ち負かせた相手に再び「ざまーみろ!」と絶叫してほしい。その時が楽しみだ。
コロナ陽性で戦線離脱を強いられた諏訪魔と石川の復活ぶりも見逃せない。欠場したフラストレーションも相当たまっているはず。暴走、大爆発を予感させ、危険な匂いがプンプンする。
いずれにせよ、思わぬどんでん返し、番狂わせ必至の王道トーナメント。暑い夏に熱い闘いが繰り広げられるだろう。選手はピリピリ、ファンはワクワク。まさに「緊張の夏」だ。全31試合、一戦たりとも見逃せない。
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【写真】最大のくせ者は底抜けに明るいアブドーラ・小林か? 虎視たんたんと野望実現を目指す、実際の写真