なぜ野球と離れた経営コンサルの道へ? 森本稀哲が語る新時代のセカンドキャリア
「野球しかやってこなかった」という思いから、最初はビジネスマンに引け目も
元プロ野球選手が経営コンサルなんていうと、「野球しかやってこなかったくせに」とか、「どうせ何も知らないんだろう」という目もある。僕も最初はそう思っていて、ビジネスマンに対して引け目を感じてたんです。でも、プロ野球選手はみんな1年でクビになるかもしれないというプレッシャーの中で、ひとつのことを徹底的に追求してきたという強みを持ってる。全体業務が終わったあとに、自分自身の成長のために勉強できるサラリーマンはそう多くはいませんが、プロ野球ではそれが当たり前のこと。だからこそ、ビジネスの分野でも知識と舞台をセッティングしてあげれば、きっとすごく活躍できると思うんです。
もちろん、プロ野球選手がみんなハングリー精神を持っているとは言いません。日本の中ではすごく注目度の高い職業で、活躍すれば大金を手にできる世界だからこそ、勘違いする選手も多い。僕自身もその1人で、年俸1億円稼ぎたいという目標がずっとあって、それをクリアしちゃったことで、何で野球を頑張ってるのか分からなくなっちゃった時期があります。
でも、本当に幸せを感じるべきなのは、お金を稼ぐことじゃなく、自分が頑張ることで結果が出るというプロセス。結果がすべての野球界で、真面目にやっても結果が出ないという選手に、野球を辞めても幸せを感じられる場所があるんだよということを見せてあげたい。自分がそのためのモデルケースになれたらと思います。
□森本稀哲(もりもと・ひちょり)1981年1月31日、東京都荒川区出身。1998年、日本ハムから4位指名を受け入団。2006年から2008年にかけて3年連続でゴールデングラブ賞を受賞、2007年にはベストナインに選出。2011年に横浜、2014年には西武へ移籍し、2015年に現役引退。引退後は野球解説者や評論家を務める傍ら、経営コンサルティング会社との4年間のマネジメント契約を終え、現在はCKプロダクションに所属し、企業向けの講演会を多数行う。新刊著書に「メンタル体操 1日5分で心も体も強くなる『すごい運動』」(KADOKAWA)。