冨田勲さんの代表作「月の光」、閉会式「聖火納火」で採用 世界的なシンセサイザー音楽家

8日に行われた東京五輪の閉会式で、式のクライマックスである「聖火納火」の音楽に、世界的シンセサイザー・アーティスト冨田勲さんの代表作「月の光」が使用された。

世界的シンセサイザー・アーティスト冨田勲さん
世界的シンセサイザー・アーティスト冨田勲さん

1974年に「月の光」を発表してビルボード誌の第1位を獲得

 8日に行われた東京五輪の閉会式で、式のクライマックスである「聖火納火」の音楽に、世界的シンセサイザー・アーティスト冨田勲さんの代表作「月の光」が使用された。

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 2016年に逝去した冨田さんは、作曲家としてキャリアをスタートし、NHK大河ドラマ第1作の音楽の作曲をはじめ、多彩な分野で活躍した。1970年代からは、当時世に出たばかりのアナログ・シンセサイザーを導入し楽曲制作を開始。電子音楽の世界的な普及の立役者となった。

 今回、聖火の納火の際に使用された「月の光」は、74年に世界発売された冨田さんのシンセサイザーアルバム第1作「月の光」の中の標題作で、このアルバムは米ビルボード誌の第1位を獲得し、さらに75年3月開催の第17回グラミー賞において日本人として初めてノミネート。また、NARMの1974年最優秀クラシカル・レコードにも選ばれた記念碑的な作品として知られている。

 7月23日に開催された五輪開会式では、聖火点灯の瞬間の音楽として、同じく冨田さんの最後の作品「ドクター・コッペリウス」の「日の出」が採用され話題となった。五輪の象徴である聖火の始まりと終わりが、日本が誇る音楽家の世界的キャリアの端緒となった作品と、生涯最後の作品で彩られるストーリーが、閉会式に至り、明らかとなった。

○冨田勲さんのプロフィル

 1932年~2016年。慶応義塾大在学中から作曲家として多彩な分野で活躍を始め、74年にはシンセサイザーによる「月の光」を発表してビルボード誌の第1位を獲得し、さらに日本人として初めてグラミー賞にノミネート。以後発表するアルバムは次々に全世界で空前のヒットとなる。

 その後、多数のNHK大河ドラマや山田洋次監督作品で音楽を担当。2011年からは「ISAO TOMITA PROJECT」が始動。「惑星」や「月の光」など、過去の名作をリメイク&サラウンド化した完全版が日本コロムビアより継続的にリリース。11年1月に朝日賞受賞。11月には宮沢賢治の作品世界を題材にし“初音ミク”をソリストに起用した「イーハトーヴ交響曲」の世界初演が行われ大きな話題となる。

 14年には、REDBULLMUSIC ACADEMY東京2014に招かれ、世界の若きミュージック・クリエーターたちの前で講演を行い世界中で注目を集めた。15年5月には「イーハトーヴ交響曲」が中国・北京で上演された。16年5月5日、慢性心不全のため逝去。享年84歳。

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