“ザ・マン”WWE女子王者ベッキー・リンチのルーツは「初代タイガーマスク」だった
憧れの日本マットを経験…一度はレスラーへの道を諦めた
そしてカナダに移住後の05年11月、新間寿恒氏が世界の女子レスラーを招へいした画期的イベント「IW・GP(・はハートマーク)」で初来日。東京、大阪、九州をサーキットしたこのシリーズにはのちにWWE入りするニキータ(ケイティ・リー・バーチル)、ナッティ・ナイドハート(ナタリア)もおり、ナタリアからは昨年、当時の話をWWE内で持ち出され乱闘を繰り広げている。
聖地・後楽園ホールや、板橋グリーンホールといった小会場のリングにも上がった彼女は2008年、負傷をきっかけに引退を余儀なくされた。が、12年10月にアイルランドでひっそりカムバックすると、アメリカに渡り13年にWWEと契約をかわした。14年6月「ベッキー・リンチ」に改名しNXTデビュー。15年7月にシャーロット・フレアー、サーシャ・バンクスとともにロウ昇格。ステファニー・マクマホンが高らかに宣言した”女子革命”の中心人物となったのである。
その集大成であり、また新たなる出発点となったのが昨年の「レッスルマニア35」だった。ロウ&スマックダウンの両女子王座を一気に獲得したベッキーには“ザ・マン”のほか”ベッキー2ベルト”の異名もついた。さすがに2冠は長続きしなかったものの、充実著しい現在の女子部門でロウ女子王座を落とすことなく保持しているのは驚異的だ。
ベッキーは2019年6月来日、久しぶりに日本の地を踏んだ。WWE日本公演では2日間にわたりロウ女子王座防衛戦をこなしてみせた。その後もベルトを守りつつ、11月には”カブキウォリアーズ”のアスカ&カイリ・セインと抗争がスタート。12月15日「TLC」での女子タッグ王座戦「テーブルズ&ラダーズ&チェアーズマッチ」を経て、今度はアスカとのロウ女子王座防衛戦に臨むのだ。この試合の結果が4月5日「レッスルマニア36」へと直結するのは間違いないところ。ベッキーが再び祭典でメインを張る可能性もあるだろう。
“ザ・マン”とは男女を超越した存在であることを表わしている。女子でありながら男子に囲まれて練習、デビューしたアイルランド時代。タイガーマスクにあこがれ18歳で初来日。一度はあきらめながらもアメリカでつかんだ世界的栄光。挑戦者のアスカも一度はリングから離れた身だ。しかも男子プロレスのエッセンスを多々吸収している。だからこそ、「ロイヤルランブル」におけるベッキーVSアスカのベルトを懸けた一騎打ちには大きな意味があるのだ。(日付はすべて現地時間)