五輪選手村の周辺を歩いてみた 現場で触れた地元住民が“交流”求める思い
東京五輪開催中、出場選手や関係者たちが生活の拠点としている東京・晴海の選手村。敷地面積は東京ドーム約9個分。三方を海に囲まれたウォーターフロントに造成されたこの選手村の中には、選手団が生活する居住棟、メインダイニングホール、フィットネスセンターなどのほか、雑貨店、銀行、ウエア・シューズのリペアセンター、五輪運営に関わる運営ゾーンがある。しかし、新型コロナウイルス感染症防止対策のため周辺は鉄柵で囲まれ警察が警備にあたるなど厳戒態勢が敷かれており、関係者以外の立ち入りは一切認められていない。感染予防のため五輪でも無観客試合が続いている。
選手村周辺は厳戒態勢 鉄柵で囲まれ立ち入り不可能
東京五輪開催中、出場選手や関係者たちが生活の拠点としている東京・晴海の選手村。敷地面積は東京ドーム約9個分。三方を海に囲まれたウォーターフロントに造成されたこの選手村の中には、選手団が生活する居住棟、メインダイニングホール、フィットネスセンターなどのほか、雑貨店、銀行、ウエア・シューズのリペアセンター、五輪運営に関わる運営ゾーンがある。しかし、新型コロナウイルス感染症防止対策のため周辺は鉄柵で囲まれ警察が警備にあたるなど厳戒態勢が敷かれており、関係者以外の立ち入りは一切認められていない。感染予防のため五輪でも無観客試合が続いている。
この選手村を巡っては選手が深夜まで飲酒して野外パーティーをしている、と報じられるなど必ずしも良い印象ばかりではない。それでも、選手との交流を望む地元住民はいるようだ。実際に選手村に足を運んでみると、選手村に最も近付ける月島警察署前交差点には数人がたたずんでおり、選手村の部屋を見つめていた。いったい何をしているのか。
近くに住んでいるという小さな子ども連れの女性は「選手と交流できないかなと思って」と打ち明けた。「ときどき選手が部屋のベランダに出て来るんです。手を振ると、気付いた選手の中にはこちらに手を振ってくれる人もいる。私が住んでいるところに五輪の選手村ができた、なんて経験はもう一生に一度あるかないかですから」。あまりにシンプルでささやかな方法だが、選手を歓迎したいという地元住民の心は確かに伝わりそうだ。
別の女性2人組は自転車で選手村にやってきた。「同じ晴海でも私は少し遠いところに住んでいます」と明かし、選手が手を振ってくれることを伝えると「えっ、そういうことがあるんですね。今度来たときに手を振ってみます」とうれしそうだった。部屋の外壁には選手が国旗を掲出しているため、どこの国の選手かが分かる。ただ、鉄柵に阻まれどんなに近付いても、声を交わすのは難しい距離だ。
通りがかった民間の警備員がこう教えてくれた。「もっと近くで選手に手を振る方法があります。一つ向こうの交差点では各国の選手団を乗せたバスが赤信号で停車します。交差点の歩道で待っていればバスの窓側に座っている選手の姿を見ることができるので、けっこう多くの住民がやってきますよ。ただ日中は熱中症の心配がありますから夕方がいいかもしれません」。
世界中のトップアスリート見たさに人々が集まり“密”な状態になるのは避けたいところだが、「一生に一度の思い出」を作りたいという地元住民の気持ちには寄り添いたい。