【欧州車紀行・北仏9】間違えて迷い込んだトゥルーヴィルは「港にできた築地かアメ横」
2019年9月21日午後。オンフルールでランチを食べ、ドーヴィルに向けてスタートしたが、ここでもナビに入れる住所を間違えてしまった。名作映画「男と女」を撮ったクロード・ルルーシュ監督の広場や、劇中のアンヌとジャン・ルイがデートした板張りの遊歩道レ・プランシュがあるビーチではなく、隣町のトゥルーヴィル・シュル・メールに設定したため。ドーヴィルの紹介の中ではこれらが一体になっているので、つい、という感じ。
食とアミューズメントのパラダイスに心が躍る
2019年9月21日午後。オンフルールでランチを食べ、ドーヴィルに向けてスタートしたが、ここでもナビに入れる住所を間違えてしまった。名作映画「男と女」を撮ったクロード・ルルーシュ監督の広場や、劇中のアンヌとジャン・ルイがデートした板張りの遊歩道レ・プランシュがあるビーチではなく、隣町のトゥルーヴィル・シュル・メールに設定したため。ドーヴィルの紹介の中ではこれらが一体になっているので、つい、という感じ。
「また、間違えたんじゃない?」
連れ合いのゆっちゃんが先に気がついたのだが、ひとまず近くにパーキングの空きを見つけ、歩くことにした。
ビーチの前にはカジノがドンとそびえ、その右奥に真っ平らな白い砂浜が広がり、その前に瀟洒(しょうしゃ)なコテージ、ホテルが立ち並ぶ。かつてはプルーストやマルグリット・デュラスなど文豪が逗留していたホテルなどだ。
ビーチに日差しを遮るものはなく、訪れる人は肌を焼くためにやってくる。水際まで距離があるので、一歩足を踏み入れたら、刺すような日差しを浴びながら長時間、太陽と過ごすことになる。家族連れも多く、砂地にあるトランポリンで遊ぶ子ども、サッカーに興じる子供らのはしゃいだ声が響き渡っていた。
ビーチを引き揚げ、港へと向かう。するとそこは食とアミューズメントのパラダイスだった。トゥルーヴィルに迷い込んで大正解だったかもしれない。魚のマルシェになっているのだ。でも、ガイドブックには全然、記されていない。
取れたての魚を並べ、その場で調理して食べることができるようにテーブルが並んでいる。ゆでた真っ赤なオマールエビ2匹が45ユーロ(約5895円)、赤座エビが1キロ53ユーロ(約6942円)、生ガキはノルマンディーの有名なイズニーが箱にびっしり並べられ、12個13ユーロ(約1703円)などと書かれている。ノルマンディーのムール貝も箱に山のように積まれ、1リットル4ユーロ(約524円)などと書かれている。
「まるで、港にできた築地かアメ横みたいな感じだね」
「こんなに楽しいとはところとは思わなかったわ。ドーヴィルといえば、お金持ちが競馬やカジノをやりながら、肌を焼く場所というイメージだから」
昼はオンフルールでロブスターを食べたゆっちゃんは「ブロンが好きなの」と丸い形のややハマグリに似た感じのカキを探す。カキはマガキとヒラガキ(ブロン)の2種類、多くはマガキ、全体の数パーセントのブロンは希少である。
お楽しみはそれだけではなかった。市場に続いてゲームセンターや遊園地のような子供の乗り物もズラッと並んでいる。市場と縁日が合体したような街並みである。迷い込んで得した気分、車で来ているからこそのハプニングである。