第74回カンヌ国際映画祭で日本映画初となる脚本賞を受賞した映画「ドライブ・マイ・カー」（8月20日全国公開）の濱口竜介監督が31日、東京・東新橋のスペースFS汐留で行われた同作の一般試写イベントにリモートで出演した。濱口監督がメディアの前に姿を現すのは同映画祭後、今回が初めて。

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　フランス・カンヌのホテルからリモートで東京の会場とつながった濱口監督は、司会者から受賞時の気持ちを聞かれると「呼ばれたときは何とも言えない気持ちでした。うれしい、というよりスピーチで何を言おうかが頭をかけめぐりました」と笑顔で振り返った。

　同映画祭では国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞という3つの独立賞も受賞し、4冠受賞という偉業を達成。受賞について濱口監督は「本当に何も考えていなかった。嫌われるタイプの映画ではないと思っていたので、ありがたいです」としつつも、「もしかして、という気持ちになるから人間はいやなもんだなと思います」と苦笑い。

　濱口監督はこれまで「偶然と想像」でベルリン映画祭銀熊賞、共同脚本作「スパイの妻」でベネチア映画祭銀獅子賞を受賞。今回のカンヌと合わせると世界3大映画祭を席巻したことになる。司会者から「世界3大映画祭制覇ですね」と向けられると、「制覇ということではまったくない。誇らしいことではありますが、巡り合わせでラッキーが続いた」と謙虚に答えた。

　また、日本映画が海外で受け入れられるために大切なことを聞かれると「日本でうける、海外でうける、とかそこまで考えていないが、自分が面白いと思っているものを作ること。映画は共同制作、集団制作ですが、面白いというものについては我を張らせてもらっています。それを受け入れてくださる人と仕事をすることが大事。自分と同じ魂を持った人々に響くことを考えればいいのではないか」と自身のポリシーを明かした。

　主演の俳優・西島秀俊の魅力については「昔から好きで西島さんが出ている映画ばかり見ていました。西島さんはたたずむ力、その場にいる力がある。西島さんが（主演を）やってくれたら素晴らしい、と直感的にお願いしました」と語った。

　カンヌで受賞後、メディアの取材が殺到したという濱口監督。カンヌ映画祭の思い出については韓国の俳優・ソン・ガンホとイ・ビョンホンの名を挙げて「イ・ビョンホンさんは歯がキレイでした」と振り返り会場の笑いを誘った。