“新日本&ルチャ”コラボ大会10周年…観戦のあり方まで変えた「ファンタスティカマニア」
ファンを楽しませ、ルチャの魅力を伝え続けた10年間
大会後、シリーズを企画し実現にこぎ着けた新日本プロレスリングの菅林直樹会長に話を聞いてみた。FMには現地を視察した菅林会長の熱意で実現した経緯がある。
「(開始から10年が経ち)日本のファンの人たちが心から楽しみにきてくれるようになりましたよね。試合を見る以上に、楽しみにきてる。それってアレナ・メヒコの雰囲気に似てるじゃないですか。(観戦の仕方が)メキシコに近くなってきたような気がします」
確かに、対戦カードよりもパッケージのおもしろさで会場に足を運ぶファンが圧倒的だろう。FMはこの10年で、プロレス観戦のあり方まで変えてきているのだ。これは画期的なことである。では、スタート当初、ここまで継続することは想定していたのだろうか。
「いや、まさか10回つづくとは思っていなかったですね。でも回を重ねるごとにメキシコの選手たちも新日本向けにちょっと闘い方を変えてきたかなと。もしかしたらアレナ・メヒコのリングよりおもしろいかもしれません」
CMLL直輸入でありながら、日本仕様へのアレンジも忘れない。選手は早い段階でアジャストできたケースが多かったが、開始当初はルールなどで観客が戸惑う場面も多少あった。ファンの心をガッチリつかんだのはルチャドールたちの適応能力にある。日本のファンに見やすいよう工夫しているのだ。では、来年以降のFMはどうなるのだろう。気になるところだ。
「もちろん継続します。いつも会場をどうするかで試行錯誤しているんですけど、どこか後楽園よりも大きいところでやりたいというのはありますね。後楽園の空間だからあの雰囲気が出せるというのはあるかもしれないですけど、後楽園でやりながら、それにプラスしてもっと大きいところでもやりたいと考えています」
後楽園以上のキャパシティーとなる会場でさらなるスケールアップ。昨今の新日本を考えれば決して不可能ではないだろう。むしろその可能性は高いと考える方が自然かもしれない。そう思えるだけのスペクタクル空間が、今年のFMにもあったからだ。
“生ける伝説”と言われるキャリア40年のネグロ・カサスは衰え知らずで躍動しまくった。ルードの親分ウルティモ・ゲレーロの強さは相変わらずだ。トリオ戦線の中心ユニット「ラ・ヌエバ・ヘネラシオン・ディナミタ」は盤石の王者ぶりで、アンヘル・デ・オロ&ニエブラ・ロハのイケメン兄弟もリングを縦横無尽に飛びまくった。オネェキャラのドゥルセ・ガルデニアにはさらなるブレイクが期待される。ストゥーカJr.、ソベラーノJr.、ティタン、フエゴらによる華やかな空中戦は見応え十分。エウフォリア、ルシフェルノからは重厚なルチャが味わえた。また、新日本とCMLLの架け橋となっているOKUMURAの存在感も欠かせない。
11年目となる2021年の開催はいったいどんなシリーズになるのだろう。かなり気が早いが、いまから楽しみに待ちたい。