【欧州車紀行・北仏7】映画「史上最大の作戦」のオマハビーチとリンゴ産地らしさを満喫
バイユーのレストランではリンゴ酒・カルヴァドスが無料だった
食事の後は、アロマンシュ上陸博物館に立ち寄りトイレをすませ、目的地のオマハビーチへ。海岸沿いを通ったり、山側に逃げてクネクネ走ったりして30分くらいかかったろうか。
「どうしてOmaha Beachというディレクションが出ないのかな。道路脇に当時活躍した兵士なのか、亡くなった兵士なのか分からないけど、彼らののぼりが並んでいるみたいだから、それがビーチへの道ということなのかな」
オマハビーチへ到着してみると、そこは何キロも堤防が続き、碧空の中に連合軍の国旗が風になびく白い砂浜だった。堤防から海岸線までは20メートルほどはあって、カモメなどが水辺で気ままに歩いている。
ゆっちゃんはカメラを構えながら水辺まで歩き、ボーッと海を眺めている。ここに陣取ったのは連合軍の中でも米軍の精鋭で、なだらかな海岸線の向こう、海と空の両方から攻撃を開始し、丸1日で雌雄は決した。その激烈な戦闘の過去がまるでうそのような、穏やかでのどかな海岸。ゆっちゃんはここをどんな風に絵を描くのだろうか。人影もまばら、店は皆無、風が舞う無料の駐車場はだだっ広い。
帰路のナビはホテルの住所を入れるだけだった。バイユーはメインストリートが1、2本の小さな街だ。食事は路地を入った場違いな印象の真っ赤な外装のレストランへ。
「ここにしようよ」
ゆっちゃんが気に入ったのは、外に漏れ流れていたのがローリング・ストーンズの「miss you」だったからだ。
入ってみるとインテリアも真っ赤。かなりとんがっているおシャレな店だ。ゆっちゃんはポーランド出身だという、過剰ともいえる店主のおもてなしにすっかり気をよくしている。
「ここに来たからには、最後はやっぱりカルヴァドス(リンゴが原料のスピリッツ)よね」
なぜかメインはカレー味の南仏ブイヤベース、バルサミコがドレッシングのサラダ、それをビール、シャルドネで。そしてフリー(無料)だというカルヴァドス。リンゴの産地ならではのサービス……。