祖母・初代藤間紫のカリスマ性を間近で感じた…26歳若き家元の女優としての決意
「背負った以上、その名を汚さないようにしたいですが、私にとってはおばあちゃん」
もう一足のわらじ、日本舞踊はピアノなどの習い事と同じような形で始め、約20年。今年、三代目藤間紫を襲名したが、「やっと『藤間紫』と言われて、私のことなんだと思えるようになりました。今までは、ずっと自分主体でやってきましたが、今後は流派のこと、日本舞踊のことを考えて活動していかなくては、と思っています」。
日本舞踊の家元の一方、女優としても知られた祖母・藤間紫の名前は大きい。「背負った以上、その名を汚さないようにしたいですが、私にとってはおばあちゃん。一緒にご飯食べに行ったり、軽井沢で一緒に過ごしたり、折り紙をしたことなどが思い出です。オンオフの切り替えがすごくて、仕事となると、目の色が変わるんです。私には祖母のようなカリスマ性はないので、みんなで流派、日本舞踊を盛り上げたいと思っています」。
憧れの存在は祖母。「気になる人や尊敬する人の経歴をよく見るんです。この人はこの年齢で、こんなことをやっていたんだ、と。祖母が映像の仕事を始めたのは26、27歳。それに比べれば、早いんですね」とちょっぴり胸を張る。
二足のわらじはチャレンジの毎日だ。「女優として舞台に立つのは日本舞踊とはまったく違う緊張感なんです。舞踊会は1回だけ。準備したことをけいこ通りにできるかが問われる。一方、お芝居はその瞬間、その日その日で変わっていくものです。けいこを積んで、役になるわけですが、初日と千秋楽でも違う。その分、難しいし、面白い。それが映像になると、バラバラに撮るので、一瞬の集中力が大事なんです」。家元ながら、日々のけいこも欠かせない。藤間にとって、勝負の1年となる。
□藤間爽子(ふじま・さわこ)1994年8月3日、東京都出身。幼少より祖母・初世家元藤間紫に師事し、2021年、三代目藤間紫を襲名。日本舞踊家・女優として舞台や映像を中心に活動中。主な出演作はNHK連続テレビ小説「ひよっこ」、NHK大河ファンタジー「精霊の守り人 最終章」、NHKBS時代劇「大富豪同心」、WOWOW「あんのリリック」など。21年11月吉祥寺シアターにて、所属する劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」の新作公演「老いと建築」に出演予定。