空前のペットブームに一石投じる動物映画「犬部!」篠原監督が語る撮影秘話

動物たちを救いたいと奮闘する獣医学部の学生たちの実話を映画化したのが、林遣都主演の「犬部!」(7月22日公開)だ。メガホンを取ったのは田中麗奈主演の「はつ恋」、野村萬斎主演の「花戦さ」、山崎まさよし主演の「影踏み」など幅広いジャンルで職人的な手腕を発揮するベテラン、篠原哲雄監督だ。

インタビューに応じた篠原監督【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた篠原監督【写真:ENCOUNT編集部】

篠原哲雄監督インタビュー、林遣都主演で獣医学部の学生たちの実話を映画化

 動物たちを救いたいと奮闘する獣医学部の学生たちの実話を映画化したのが、林遣都主演の「犬部!」(7月22日公開)だ。メガホンを取ったのは田中麗奈主演の「はつ恋」、野村萬斎主演の「花戦さ」、山崎まさよし主演の「影踏み」など幅広いジャンルで職人的な手腕を発揮するベテラン、篠原哲雄監督だ。(取材・文=平辻哲也)

「犬部!」は、空前のペットブームに一石投じる動物映画とも言えるだろう。ノンフィクションを原案に、青森県十和田市を舞台に、獣医学部卒業に必須だった動物の生体を使った外科実習に反対し、片っ端から犬を保護して狭いアパートで飼う颯太(林)を始め、殺処分する「動物愛護センター」の内部から変えていこうとする同級生の柴崎(中川大志)らの青春模様に、動物の殺処分、多頭飼育などペットをめぐる社会問題が描かれる。

 篠原監督は高校時代に雑種の犬を飼ったり、助監督時代にもらった猫を飼ったこともある動物好き。「とはいえ、30~40年前の話ですからね。最初にお話をもらったときは、犬猫が愛くるしさだけが感動のポイントになる作品にはしたくない、と思いました。原案のノンフィクションを読み、脚本を作っていく過程の中で、保護活動していく獣医さんの生き方などにひかれ、彼らの青春の輝きが撮れれば、素敵だな、と思いましたし、社会的にも非常に意味のある内容だなと感じました」と話す。

 ペットをめぐる諸問題は度々、ニュースにもなっている。「僕が犬猫を飼っていた30?40年前にはなかったことですよね。今も、ニュースを聞いた時は他人事のように思っていましたが、現実に犬猫を飼っている人たちにとっては身近な問題であるし、動物と人間が社会の中で共存していくかは非常に重要なテーマだなと気づきました」。

 キャスティングには早い段階から手応えを感じた。「林君と中川君の出演が決まった時にいけるんじゃないかと思いました。林君が演じる颯太は物事に突進していく役柄で、中川君の柴崎は、それに歯止めをかけていく役柄。でも、2人の役のアプローチは逆。林君はどこか冷静に全体を見渡す客観的な視座を持っている。一方の中川君が突進型。タイプが違う俳優をみるのは面白かったです。2人が納得するまでは時間をかけましたが、その後の撮影は早かった。浅香航大君は、普段は二枚目の役が多いですが、その2人と調和して、時にユーモアを見せるコメディリリーフ的な役回り。林君と浅香君はテストの時から林君がツッコミを入れて、浅香君がボケを返すみたいなやりとりもありました。大原櫻子さんは犬部の猫担当として青春群像の一角を担う女性を演じてもらえ、仲間たちの話になったなと思います」。

次のページへ (2/3) 脇を固める犬たち「ベストな演技を引き出したのは、林君の存在が大きい」
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