【この人こんな人】東京五輪に向け来日中のIOCバッハ会長 五輪金メダリストで博士号もつ弁護士という素顔
トーマス・バッハ会長(67)がIOC(国際オリンピック委員会)の第9代会長として、8日来日。16日には広島市を訪れ、平和記念公園で原爆犠牲者に献花した。「パフォーマンスか」と厳しい声が上がる一方、「意外と身長は高くないんだな」といった声も聞かれる。これまで顔だけが映ったテレビ映像ばかり見ていた一般視聴者には、もっと大柄なイメージをもっていた人も少なくないかもしれない。バッハ会長の身長は、181センチと言われるドイツ男性の平均身長をかなり下回る171センチ。そもそも、バッハ会長はどんな人なのか。
初の五輪メダリスト出身のIOC会長
トーマス・バッハ会長(67)がIOC(国際オリンピック委員会)の第9代会長として、8日来日。16日には広島市を訪れ、平和記念公園で原爆犠牲者に献花した。「パフォーマンスか」と厳しい声が上がる一方、「意外と身長は高くないんだな」といった声も聞かれる。これまで顔だけが映ったテレビ映像ばかり見ていた一般視聴者には、もっと大柄なイメージをもっていた人も少なくないかもしれない。バッハ会長の身長は、181センチと言われるドイツ男性の平均身長をかなり下回る171センチ。そもそも、バッハ会長はどんな人なのか。
バッハ氏は76年のモントリオール五輪のフェンシング男子フルーレ団体で金メダルを獲得した金メダリスト。フェンシングの選手としても小柄で「大成しない」とも言われたという。しかし、6歳のころに地元のクラブでフェンシングを始めたバッハ氏は、そのクラブのトレーナーが西ドイツのナショナルチームのトレーナーへとステップアップしたのに導かれ、世界的な選手へと成長。五輪のメダルのほか、世界選手権では金2個、銀1個、銅1個を獲得している。
ちなみに、IOC会長としては、初の五輪メダリスト出身。第8代のジャック・ロゲ氏(79)はセーリング、第5代のアベリー・ブランデージ氏(故人)は陸上で、五輪に出場したオリンピアンではあるが、メダリストはいなかった。
名門大学で学んだ辣腕(らつわん)弁護士だった
バッハ氏の子ども時代は厳しいものだった。1953年、旧西ドイツのバイエルン州ヴュルツブルク出身。ヴュルツブルクは海外旅行好きなら誰もが知る“ロマンティック街道”の起点として知られる都市だ。実家は小さな織物店だった。父親は体が悪くてほとんど働けず、母親が一家の大黒柱を務めていた。父親はバッハ氏が15歳のころ、死去。家計は厳しかった。
トップアスリートに成長する傍ら、勉学にも励み、あのヴィルヘルム・レントゲン氏(故人)らノーベル賞受賞者も多数輩出した名門・ヴュルツブルク大学法学部へ進学。79年にアスリート引退後、司法試験に合格し博士号も取得した。弁護士としても活躍し、アディダスやシーメンスといった世界的企業に食い込み、91年にはIOC委員に就任。96年に理事になり、2013年、第9代IOC会長に選出された。
大学在学中の77年にクラウディアさんと結婚。子どもや孫の存在は不明だ。