【気になる人】デビュー45年「ある家族」で映画初主演の川崎麻世が初めて明かす生い立ちと20年来の病
4か月前から月2、3回の通院を始めた
ごまかしながらやってきましたが、3年ほど前から、しゃべることが「苦しい」と感じるようになってきました。電話もつらい。いよいよ何とかしなくてはいけない、と思い、ネットで調べまくって、ようやく今、通院している病院にたどり着くことができました。それが4か月前。その病院で機能性発声障害の診断名をつけていただき、治療を始めることができました。月2、3回通院し、心の傷を治すカウンセリングと、声の専門の先生に呼吸法や楽に声を出す喉の筋肉の使い方、マッサージなどのリハビリを受けています。原因はやはり精神的なストレス。カウンセリングの先生には、「心の傷が深いから数か月ではなく、長い時間をかけて一つ一つ傷を癒やし、新しい考え方を身につけていきましょう」と言われました。
僕は長年、マスコミにあることないこと書きたてられ、プライベートの問題もあり、大きなストレスを受けることが少なくありませんでした。事実を報道されたり、事実を根拠にネットで悪口を書かれたりするのは仕方がないな、と思えます。取り繕って格好つけるよりも、自然体でいることが大事だと思っているので、ありのままの自分を報じられてあれこれ言われるのは仕方がない。でも、嘘を報じられ、それが事実になっていくのは耐えがたい。僕が若い頃は嘘を報じられても弁解はカッコ悪いとされていたし、弁解すればするほど騒動が大きくなるので黙っているのが良し、とされていました。だから弁解せず、ずっとつらい気持ちを抑えつけ、我慢していました。機能性発声障害はそうしたストレスの積み重ねが原因だったのです。
まだ13歳という幼い年齢で芸能界に入り、厳しい競争の中でずーっと気を張って生きてきたのでしょう。ストレスが掛かることが起きても、そこから逃げることもしませんでした。ストレスが原因で声が出にくいなどの症状が出ると思っていなかったので、正面から問題と立ち向かわないのはダメ人間だ、と思い込んでいましたから。カウンセリングの先生には「ダメ人間になってもいいじゃないですか。自分が思うほどダメにはなりませんから、そんなに頑張らないでください」と言われました。
ただ、僕は順風満帆にいくより、役者としては多少パンチを食らった方が「よし、やってやるぞ」と燃えるんですよね。この7月に公開される映画「ある家族」も、ありのままの僕の姿で「やってやるぞ」と臨んだ作品です。「ある家族」はある“ファミリーホーム(家庭環境を失った子どもを養育者が自身の家庭に迎え入れて養育している住居)”を描いた作品なのですが、僕の生まれ育った家もファミリーホームだったんです。僕の両親は僕が1歳半の頃に離婚したので、僕は母や母方の祖父母に育てられたのですが、祖父母は家庭に恵まれない子どもたちを引き取って養育していたので、僕はそういう子どもたちと一緒に育ちました。僕の実家はまさに「ある家族」に描かれている家族のような感じ。だから、「ある家族」は僕のイメージとは違うと感じる方もいるかもしれませんが、“僕らしい”作品なんです。