庵野監督、100億円目前のシン・エヴァに達成感「いま自分が作るアニメーションでやれることは大体やった」

公開中の映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の庵野秀明総監督が11日、東京・新宿バルト9で行われた舞台あいさつに登壇。興行収入「100億円」が迫る本作への思いを語った。庵野総監督がエヴァ関連の公のイベントに登場することは異例。4月11日に行われた舞台あいさつ以来の登壇となった。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」フィナーレ舞台あいさつに登壇した庵野秀明総監督【写真:ENCOUNT編集部】
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」フィナーレ舞台あいさつに登壇した庵野秀明総監督【写真:ENCOUNT編集部】

最新データは「98.8億円」 全国333館の劇場で生中継

 公開中の映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の庵野秀明総監督が11日、東京・新宿バルト9で行われた舞台あいさつに登壇。興行収入「100億円」が迫る本作への思いを語った。庵野総監督がエヴァ関連の公のイベントに登場することは異例。4月11日に行われた舞台あいさつ以来の登壇となった。

 本作は3月8日の公開から大ヒットを続けており、7月10日までの125日間累計で興収98.8億円をマークしていることが発表された。一部劇場を除き、21日をもっての終映が決まっている。庵野総監督が脚本・総監督を務めた「シン・ゴジラ」(2016年)の最終興行収入82.5億円を超え、庵野総監督作品の中で最高記録を更新し続けている。

 今回は“フィナーレ舞台あいさつ”と銘打ち、全国333館の劇場で生中継された。庵野総監督に加え、碇シンジ役の緒方恵美、葛城ミサト役の三石琴乃、赤木リツコ役の山口由里子、碇ゲンドウ役の立木文彦の声優キャストも参加した。

 この日に集まった声優キャストはテレビシリーズ第1話の冒頭シーンで登場した主要メンバーばかり。冒頭のあいさつで、庵野監督は「本当に懐かしいメンバーです。前にも御礼の舞台あいさつでも登壇しましたが、本当にきょうが最後。あらためて御礼を申し上げたく登壇しました」と語った。

 庵野監督は司会からシン・エヴァでの達成感を聞かれると、「いま自分が作るアニメーションでやれることは大体やったかな。いまやれる技術はようやくできたかな。(シリーズ前作で)あれもできないこれもできないということが結構あったけど、今回ほとんどできたかなと思います」と振り返った。

 今回、SNS上でファンからの質問を募っており、「時間が許すならば足したかったシーンはあるか」との質問が上がった。庵野総監督は「最初は(上映時間を)2時間切りたかったんですよ。あれ削ったりこれ削ったり頑張ってみたけど、あるときにこれ2時間ではまとまらない、と思って。そうしたら2時間半になっちゃった。シン・エヴァに関しては足すシーンはもうないですかね。ほかの作品のときはあれ足しておけばよかったと思いましたが、今のところないです。また出てくるかもしれませんが。製作側はまたビビっていると思いますが、今はないですからね。安心してください」と話し、会場を笑わせた。

 さらに、「あなたにとってエヴァ」との問いには、「ひと言で言うのは難しい。スカして言えば、僕自身の最新作。それで済んじゃいますが、そういうものではないですね」と前置き。そのうえで、「1992年から企画をやっているので30年近く関わっている。自分の人生の半分を費やした作品。終わったというのは感無量。感無量の作品です」と語った。

 最後のあいさつで「ありがとうございました」と、客席に向かって深々と頭を下げた。「本当はいろいろ言おうと思いましたが、これしかありませんでした」と話した。

 本作は当初、20年6月27日の公開を予定していたが、新型コロナウイルス禍の影響を受け、2度に及ぶ公開延期に見舞われた。上映が始まってからは緊急事態宣言など、度重なる逆境にさらされてきた。今月12日からは、映画市場の主戦場である東京都に4度目の緊急事態宣言が発令される。こうした状況でも、目標の「100億円」まであと一歩まで迫っている。

 1995年のテレビシリーズ放送で社会現象を巻き起こした「新世紀エヴァンゲリオン」。07年からは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズとして再始動し、「:序」「:破」(09年)「:Q」(12年)の3作が公開。「シン・エヴァ」は新劇場版シリーズ最新作にして完結編だ。

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