パチンコ店減少に歯止めかからず 業界幹部「旧規則機の撤去問題にコロナが追い打ち」

「パチンコ業界は瀕死(ひんし)の状態です。昨年1月から今年5月末までの間に全店舗の1割が閉店しました。コロナの影響もありますが、3年前に改正されたパチンコ、パチスロの旧規則機の撤去命令がパチンコ店の体力を奪っているのです」

パチンコ店減少に歯止めがかからない(写真はイメージ)【写真:AC】
パチンコ店減少に歯止めがかからない(写真はイメージ)【写真:AC】

パチンコ・パチスロの旧規則機は来年1月末までに撤去命令

「パチンコ業界は瀕死(ひんし)の状態です。昨年1月から今年5月末までの間に全店舗の1割が閉店しました。コロナの影響もありますが、3年前に改正されたパチンコ、パチスロの旧規則機の撤去命令がパチンコ店の体力を奪っているのです」

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 ENCOUNTの取材にこう明かすのはパチンコ業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)」の幹部だ。警察庁は国家公安委員会規則を2018年2月に一部改正し、射幸性が高いとされるパチンコ、パチスロの機種を、一部を除いて今年1月末までに撤去するようパチンコ業界に求めた。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で来店客が減っていることによる経営悪化やパチンコ店にとって機種入れ替えコストの負担が大きいことなどから業界側は期限の延長を要求。これを受け警察庁は今年5月14日、同規則の一部を再度改正し、旧規則機の撤去を1年間延長することにした。

 これによって一部人気機種が来年1月末まで楽しめることになったが、この幹部の表情は暗い。「今後、人気のあった機種はどんどん減り、出玉が少ないつまらない機種ばかりになるとお客さんは当然、興味を失ってパチンコを打たなくなります。かくいう私自身も最近はあまりパチンコを打たなくなりました」。

 パチンコ店舗数は1995年の1万8244店をピークに減少傾向が続いており、コロナ禍のなか廃業に追い込まれるホールは後を絶たない。全日遊連に加盟しているパチンコ店舗数は今年4月末でついに8000店を割り込むほどの苦境に立たされている。「これまで設置していた旧機種1台あたりの売り上げは1日5万円以上のものも多数ありましたが、来年1月末以降に設置される新機種は1万円とか2万円くらいに減りそうなんです。1000台以上の大型店では電気代が月500万円とか600万円とかになりますから、店舗を維持していくのも大変です」。

 2020年4月の緊急事態宣言の際は、営業を続けたパチンコ店に対し抗議の声が殺到した。今に及んでも“パチンコ悪玉論”がぶつけられているのだろうか。「そういう声はほとんどなくなりましたが、緊急事態宣言が出されていた都道府県では延べ床面積1000平米以上のパチンコ店に対して、行政から土日の休業要請が来てました。でもパチンコ業界側は聞き流しました。パチンコ店でクラスターが発生したこともないし、ホール内は抜群に換気がいいですから、休業する理由がないのです。そもそもかき入れ時の土日に休業なんかしたら経営が立ち行かなくなってしまいますよ」。

 それでも来年1月末の撤去期限は迫りつつある。パチンコ業界の将来はどうなのか。

「すでにパチンコ店は人口減少が顕著な市町村では衰退しています。人口がそれなりに多い市地域でも体力のないパチンコ店は廃業を余儀なくされ、商圏内上位1~3位くらいしか生き残れないと見ています。そもそもパチンコとギャンブル依存症との科学的かつ納得できる因果関係は示されていないのに……」

 ところで、廃業したパチンコ店の経営者はどうやって暮らしているのだろうか。「ホールの建物自体を他業態に転換するのは難しいですから、取り壊して更地にし土地をドラッグストアに貸し出すというパターンが多いです。高齢化社会が進んでいてお年寄りの居場所の問題が出ています。われわれパチンコ店はそういった方々にとっての憩いの場になっていたと思います。行き場を失ったお年寄りがドラッグストアに集まるわけにもいきませんし……。そういったことも考えてほしいです」。

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