「尊敬される人でいなさい」―18歳で芸歴17年の名子役、胸に秘める大先輩からの“金言”
病院の窓拭きシーンはスタントなし「ワイヤーアクションをやるときに役立つかも」
主人公・倫太郎は両親を知らずに、施設で育った少年。将来の夢を持ち、性格は明るく勤勉。「すごく暗い過去を持っているんですけど、それを感じさせない明るさと真っすぐな性格。なぜ、こんなに素直に育ったんだろうと疑問だったので、監督に聞きました。周りの人たちの愛のおかげで、真っすぐ育っていったと知り、納得しました。舞台は群馬県の榛名湖周辺なのですが、周りの人たちが本当に愛情を持って、倫太郎をかわいがってくれたんです。僕も人の気持ちを考えてしまい、愚痴ったりできないタイプ。そこには共感しました」。
長期撮影で苦労したのは何か。「泳ぎが苦手だったんで、泳ぐシーンですね。撮影前の夏休みに、フィリピンに短期語学留学した時に、一緒に行った姉に泳ぎ方を教えてもらったんです。だから、泳ぎは自己流。でも、倫太郎も、自己流で覚えただろうし、ちゃんとした平泳ぎではないけれども、それがまた力強い感じに見えて、よかったと思いました」。
また、病院の窓拭きのアルバイトをするシーンはスタントなしで演じた。「撮影の前に、業者の方からレクチャーを受けて、演じました。実際、屋上からワイヤーをつけて、やっているのですが、器具を1度、外してしまうと、つけ直すのが大変なので、何時間も宙にぶら下がったままで、腰が痛くなりました。将来、ワイヤーアクションをやるときに役立つかもしれませんね」と笑う。
現在、女優の麻生久美子らがいる事務所「ブレス」に所属し、今後も学業を両立させながら、俳優業を続けていく考えだ。「監督からは『1人の俳優の前に、尊敬される人でいなさい』と言われました。今回、共演した大空眞弓さんとは、舞台『春日局』に続き2回目の共演だったのですが、『覚えているわよ。随分大きくなったわね』と本当に優しく声をかけてくださった。こういう人が尊敬される人なんだろうなと思いました。僕も大空さんのような人になりたい」と話す。「ロック わんこの島」の心優しい少年は、真っすぐな好青年に成長していた。
□土師野隆之介(はしの・りゅうのすけ)2003年4月19日、神奈川県出身。幼少期よりNHK大河ドラマ「平清盛」牛若丸役、「水戸黄門最終回スペシャル」などに出演。映画「ロック わんこの島」(11年)では、300人を超えるオーディションで主人公の男の子役に抜てき。主な出演作に、映画「呪怨 黒い少女」(09年)、「猿ロック」(10年)、「MONSTERS」(14年)、「最後の命」(14年)など。