健介オフィスから10年越しの遺恨が爆発 ノアのタッグ王者コンビが分裂した真相とは

ノアのGHCタッグ王座を巡って、とんでもない事態が巻き起こっている。中嶋勝彦とマサ北宮は、同王座を保持したパートナーだが、仲間割れ。同じ健介オフィスで育った2人なのに北宮が「入門したその日から大嫌いだった」と絶叫。先輩の中嶋に、尋常ではない嫌悪感をあらわにしているのだ。

自慢の髪は刈られたが中嶋勝彦の鋭い眼光は健在【写真:柴田惣一】
自慢の髪は刈られたが中嶋勝彦の鋭い眼光は健在【写真:柴田惣一】

7・22後楽園ホール大会で再度ぶつかる2人

 ノアのGHCタッグ王座を巡って、とんでもない事態が巻き起こっている。中嶋勝彦とマサ北宮は、同王座を保持したパートナーだが、仲間割れ。同じ健介オフィスで育った2人なのに北宮が「入門したその日から大嫌いだった」と絶叫。先輩の中嶋に、尋常ではない嫌悪感をあらわにしているのだ。

 王座防衛V1戦(5・31後楽園ホール)での同士討ちから北宮が猛反発。防衛後に中嶋にテロ攻撃をしかけ「10年前から、健介オフィスに入門したときから、テメーのことが、嫌いで嫌いで、大嫌いだった」と決別を通告した。

 6・26配信マッチという無観客試合、しかも金網デスマッチで髪の毛をかけて雌雄を決する異例の展開。北宮が勝利し、中嶋の髪の毛を刈った。これでノーサイドと思いきや、北宮の怒りは収まっていない。中嶋が征矢学、北宮が清宮海斗とコンビを組み、王者決定戦を7・22後楽園ホール大会で争うことになった。

 タッグベルトを巻いていたコンビの分裂は、たまに起きるが、ここまで憎悪に憎悪が重なることは珍しい。中嶋と北宮の2人の間に、いったい何があったというのだろうか?

 北宮はほえる。「ヤツへの恨みは、こんなもんじゃ晴れない。腹の底にへばりついている。まだまだ」と、ただでさえ迫力のある顔が憎悪に支配されている。余程のことがあったのだろう。

 対する中嶋は「すっきりした」と丸刈り頭をなでながら「これからもどんどん刺激を与えてやるよ。楽しめ」とクールに言い放った。

 真っ赤に熱く燃える北宮に、冷静さを装いながら青白い炎をくゆらす中嶋。健介オフィスの同門がゆえに、近親憎悪のような許しがたい感情が込み上げてくるのだろう。

 厳しさが信条だった佐々木健介の教えを受け継ぐ2人。2014年に活動を停止した健介オフィスを最後まで支えたのもこの2人だった。強い絆で結ばれていたはずだが、どこかでボタンを掛け違えてしまったのか。

 大学レスリング部の主将まで務めた北宮は11年に、健介オフィスの入門テストを受けているが、試験官の1人が中嶋だった。あれから10年。キャリアではプロレスラーデビュー前に金網格闘技マッチでプロデビューしている中嶋が8年先輩だが、ともに1988年生まれ。3月生まれの中嶋は33歳、10月生まれの北宮は32歳。入門時の関係が一生続く体育会気質そのもののプロレス界にあって、年齢はさほど意味を持たない。

 中嶋にしてみれば愛のムチでも、北宮にしてみれば度の過ぎた厳しい指導だったのかも知れない。「怒る」と「叱る」は違う。「怒る」は自分のいら立った感情をぶつけることであり「叱る」は相手のために注意、指導することだと、学校の先生に聞いたことがある。

 また、きつく言い過ぎてしまった時には、間を空けずフォローも忘れないという。もちろん練習中の指導では、優しい言葉や態度で接する余裕はないかも知れないのだが……。逃げ場を残してやるものも大事だとか。気付くチャンスを残し、自発的に行動させなければ恨みを生む。それに良かれと思ってやったことでも、相手に届くとは限らない。人間は感情の生き物。難しい。

 遺恨勃発、因縁の対決はハラハラドキドキの激しい試合になるが、行き過ぎるとただのケンカになってしまう懸念もある。

 確かに、過去にも仲の悪い選手はいた。上下関係のこじれか、女性問題か金銭問題などが多かった。これまでは、リング上の清算マッチや移籍などで、すっきりとはいかないまでも一応の決着を見てきた。

 表沙汰にはしない、ならないことが大半だったが、今回のように嫌悪感がむき出されるケースは珍しい。名勝負になるか、暴走して試合が成立しないか、緊張のゴングは間近だ。

次のページへ (2/2) 【写真】マサ北宮の姿
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