獣神サンダー・ライガー「いつか猪木さんとゆっくりお話をしたい」師匠の“すごさ”語る
もしプロレスの山があったら僕は6合目までしか登れなかった
アイキッド「ライガーさんが、『プロレスってきっとこうなんだろうな』とか『エンターテインメントってきっとこういうことを言うんだ』なんて分かった瞬間ていつ頃でしたか?」
ライガー「そうですね…。もう僕は引退しましたが、もしプロレスという山があったとしたら、僕は6合目ぐらいまでしかたどりつけなかったような気がします。やっぱりプロレスって奥が深いんだよね。猪木さんて、北朝鮮に行っても、どこに行ってもものすごい声援があって、同じ職業のプロたちが見ても、毎回猪木さんの試合にのめり込んでしまう。そして試合が終わった瞬間にものすごい脱力感というか満足感があるんですね」
アイキッド「へえ…」
ライガー「もうアントニオ猪木というレスラーは、いつも“すごいです”っていう感想しかないんですよ。ほとんどのレスラーが同じように思っているはず。だから僕はプロレスというものが分かったのはいつごろですかって聞かれても、まだまだ分からないことだらけなんですよ。いつか猪木さんと一度ゆっくりお話をさせてもらいたいですね」
アイキッド「奥が深い世界なんですね」
ライガー「そう。今回YouTubeの収録でお二人に話した“温故知新”てやつですね。そういう先人からの教えだったり、視野を広げてみる面白さだったり。音楽でもきっとそうでしょう」
アイキッド「おっしゃる通りです。ライガーさん、目標ってやっぱり高いほうがいいんですかね?」
ライガー「どうだろうね。大きい目標を持てという人もいれば、身の丈に合った目標を立てろという人もいるし、人によってバラバラだから自分たちが思うようにやればいいんじゃないのかな。だってその目標に向かって歩くのは本人なんだから。成功すればちやほやされるし、失敗したらばかにされるし。だからこそ自分自身を信じることって大事なんじゃないかな。坂本龍馬さんの『我が成す事は我のみぞ知る』って言葉がありますよね。だからあんまり他人の耳ばかりに傾けていたら物事って進まないよね」
アイキッド「ちなみにライガーさんは引退後もまだ続いてる目標はありますか?」
ライガー「プロレス自体はもう引退しているんで、選手としては6合目ぐらいで終わって、登ることもないんだけれど、引退したからこそ、分かることもあるので、プロレスに関わっていく以上、もっともっとプロレス山の頂上に向かっていきたいなっていう気持ちがありますね」
アイキッド「例えばライガーさんご自身がかなえられなかった夢を未来の選手に託すといったことは?」
ライガー「いやいや託すなんて僕の口からは無いですよ。今のジュニアの選手だってヘビーの選手もそうだけれど僕がやっていたころとは全然違う。“雲泥の差”ですよ。全盛期の僕が今あれをやれと言われてもできませんから。体も持たないし正直無理です。だから僕は彼らには『けがだけはするなよ!』と言いたい。もしアドバイスを求められるとするならば、例えばマイクアピールの時、『もうちょっとマイクを離してしゃべった方がいいよ』とか、そんなアドバイスならいくらでもできますけれど、僕の夢を託してこいつに任せたとか、そんなことは口が裂けても絶対に言えませんよ。本当におこがましくて。今のやつはすごいですよ! だからけがが怖いんです」