獣神サンダー・ライガー「いつか猪木さんとゆっくりお話をしたい」師匠の“すごさ”語る
新日本プロレスの獣神サンダー・ライガーは、引退後もプロレス解説者やタレントとして引っ張りだこ。なかでもYouTube「獣神サンダー・ライガーチャンネル」は、現役を振り返る裏話から趣味の園芸、親子共演などネタ満載で登録者数も右肩上がりだ。そんなレジェンドに急接近したのは、メジャーデビュー曲「94年のジュニアヘビー ~ザ・スコア~」を6月30日にリリースした謎のロックユニット「ザ・リーサルウェポンズ」(アイキッド&サイボーグジョー)。憧れのライガーと夢の対談が実現したシリーズ最終回(第3弾)は、2人のプロレス愛を正面から受け止めたライガーが、制限時間いっぱいまで次の世代に受け継いでもらいたい大切な話をしてくれた。
マスクマン同士の戦いでも雰囲気で表情が分かる
新日本プロレスの獣神サンダー・ライガーは、引退後もプロレス解説者やタレントとして引っ張りだこ。なかでもYouTube「獣神サンダー・ライガーチャンネル」は、現役を振り返る裏話から趣味の園芸、親子共演などネタ満載で登録者数も右肩上がりだ。そんなレジェンドに急接近したのは、メジャーデビュー曲「94年のジュニアヘビー ~ザ・スコア~」を6月30日にリリースした謎のロックユニット「ザ・リーサルウェポンズ」(アイキッド&サイボーグジョー)。憧れのライガーと夢の対談が実現したシリーズ最終回(第3弾)は、2人のプロレス愛を正面から受け止めたライガーが、制限時間いっぱいまで次の世代に受け継いでもらいたい大切な話をしてくれた。(企画・構成:福嶋剛)
(サイボーグ)ジョー「ライガーさんからの質問知りたいです」
ライガー「最後に質問しますよ。ところでアイキッドさんは、対談中ずっとマスクしているけれど大丈夫?」
キッド「もちろんです。僕たちなんてまだ得体(えたい)の知れないバンドなのにYouTubeに加えて対談にまで応じていただき、本当に感激です。マスクで表情が見えないですけど…」
ジョー「ジェスチャーは分かるね」
ライガー「僕はマスクマンだからその熱は伝わってくるよ(笑)」
アイキッド「ありがとうございます。それこそマスクマン同士の戦いとか、お互いに表情の見えない中でどんなふうに熱量を感じ取って戦っているのかなって」
ライガー「昔、アントニオ猪木さんの付き人をさせてもらっていたころに『点ではなく全体を捉えろ』とよく教えていただいたんです。お客様の声援だけじゃなくて“うねり”を感じなさいとよく言われました。猪木さんがサイコロジー(※)の意味で、手のひらで転がしていたら、こんな痛快なことはないだろうってよくおっしゃることがあったんだけど、まさにそれですよね」
※サイコロジー:心理・心理学
アイキッド「手のひらで転がす?」
ライガー「そう。うねりを感じて、感じたうねりに対して自分を跳ね返していく“メッセージ”を相手に届ける。だから点ではなくて面。全部なんです。アリーナ全体が猪木さんの手のひらに乗せられているんですよ。『そういうふうにできたらお前、面白いと思わないか?』って猪木さんに言われたことがあって。当時は何を言っているのかよく分からなかったんだけど、今は分かります。だから相手がマスクマンであっても雰囲気で分かるし、ロックアップをした瞬間に分かるんです」
ジョー「オー!スゴイ」
ライガー「猪木さんはとにかく一つ一つ、指の先まで神経を研ぎ澄ましているから、『ただボーっと立っているんじゃない! 見られているという意識を持て!』と。例えば両国国技館なんて一番上から見れば選手なんて豆粒ですよ。一番前の人から見ても等身大くらい。でも伝える側としたら一番向こうにいようが、近くにいようが、みんなに平等に伝えなきゃいけない。だから常にそれを考えて選手は戦っているから表情とかしぐさといった1つの点ではないんですよね」
アイキッド「後楽園ホールもあればドームみたいな会場もあって」
ライガー「そうそう。だから五感で感じるんです。不思議なものでいいところをヒットされちゃって記憶が飛んでしまうこともよくありましたが、気がついたら控え室なんですよ。『あれ? 試合終わった? 今俺何やってるの?』。一切分からないんだけど試合はちゃんと成立してるんです。だから体で感じて勝手に動いたんでしょうね。声援も何も全部“塊(かたまり)”として受け取って全部それをはじき返しているというね」
アイキッド「それは音楽でいうライブとかと通じるものがあるかもしれないですね」
ライガー「お客様に見てもらう、メッセージを届けるそれは一緒ですよね。人間がやって人間が届けるんだから。やっぱりそれはプロレスだろうが音楽だろうが芝居だろうが古典芸能だろうが、何でも全部そうなんじゃないかね」