バンド活動といえば、BLUE ENCOUNTの作詞作曲の要でもある田邊にとって、サウナは「創作の場」でもある。必然的に集中力が研ぎ澄まされるサウナ室内で新しい曲が生まれることも多いそうだ。

「この1年ぐらいは特に、サウナの中で曲が浮かぶことが増えました。7月から放送される『ボイスⅡ 110緊急指令室』（日本テレビ系）の主題歌になった「囮囚」（ばけもの）という新曲もサウナで浮かんだ曲です。だから結局、サウナでも音楽のことばかり考えてるんですよね。ライブの流れとかもよく考えます。ライブってものすごく汗をかくじゃないですか。それってライブと一緒なんですよね。ライブの空気が疑似体験できるから、アイデアが生まれやすいのかもしれない。だからなのか、不思議なことにいいライブハウス、好きなライブハウスの近くには必ずいいサウナがあるんです」

　なるほど、バンドマンやお笑い芸人など、ステージに立つ人にサウナーが多いのも納得だ。そんな、相通じるところのある音楽とサウナを一直線でつないで生まれたのが、コンピレーションCD「トトノウオト」。「僕としては『サウナ好きですよ』という表現の最高潮です」という今作に収録されているのは、ロックバンドからJ-POP、ゲーム音楽まで、田邊自身で選曲した全12曲。そのトラックリストは「サウナに入りながら聴きたい曲」という理由で選んでいったという。

「サウナの浮遊感というか、自分の心にぐっとくる感覚で選んでみたっていう感じです。だから僕が好きな人たちということでしかないんですけどね。サウナに慣れていけば慣れていくほど、たまに昔を思い出して“ととのう”というのがあるんですよ。学生時代の甘酸っぱいこととか、あのときもうちょっとこうしていればよかったなっていう後悔とかが走馬灯のようによみがえってくる。ここに集めた曲は、そういう気持ちに結びついているものが多いです。なので、このCDは田邊の走馬灯アルバムですね（笑）」

　最後、田邊に「サウナの魅力とは何か」と聞いてみた。すると出てきたのは、彼が日々音を鳴らし歌っている場所に感じるものとも似通った「非日常」というキーワードだった。

「日常ってどうしても開放したままじゃいられないじゃないですか。やっぱり鍵を閉めている部分もあるし、張っているバリアもある。でもサウナなら、裸になってどうでもよくなれる。その非日常感がいいのかなって思います。だから大好きなんですけど、じつは疲れきってるときは行かないようにしているんです。サウナを嫌いになりたくないから、その絶妙な距離感を保っているんだと思います。好きなもの食べ過ぎて嫌いになってしまうみたいなことってあるじゃないですか。そうなりたくないから距離を測っている。そんな面倒くさいことを久々にやってるなと思います（笑）」

□田邊駿一（たなべ　しゅんいち）エモーショナルロックバンド、BLUE ENCOUNTのボーカル＆ギター。バンド活動を積極的に行うかたわら、テレビ東京「音流」内でレギュラーコーナー「酒場サーキット」のレギュラーMCを担当するなど本人のパーソナリティーにも注目が集まっている。4月からはInterFM897「イオンウォーターpresents トトノウラジオ」でのMCも担当。“サウナ”への熱い思いをゲストと共にリスナーへお届け中。

□BLUE ENCOUNT（ブルーエンカウント）熊本発、都内在住4人組。通称ブルエン。熱く激しくオーディエンスと一体になり、ダイレクトに感情をぶつける熱血なパフォーマンスが話題のエモーショナルロックバンド。2014年9月にEP「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。16年10月に日本武道館ワンマン公演、20年、4th Album「Q.E.D」発売。21年4月17・18日には初の横浜アリーナを成功させた。日本テレビ系新土曜ドラマ「ボイスII 110緊急指令室」（7月10日土曜、午後10時スタート）の主題歌を担当。

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田邊駿一
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InterFM897「イオンウォーターpresents トトノウラジオ」（4月～6月、毎週月曜午後9時30分～）
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